内容説明
私立女子校で数学を教える女教師の那多。彼女の前に昔の恋人の犬飼が突然現われ、奇妙なアルバイトを依頼してきた。コンピュータ内に人工生命として誕生した少年を教育してほしいという。犬飼の親友の新免は、人工知能研究をブレークスルーする画期的なコンピュータを設計、その最終的な完成に那多の力を借りたいらしい。とまどう那多だったが、やがてその少年に、昔自分を犯し自殺した教え子“ショウゴ”の名前をつけて育て始める―那多、犬飼、新免の3人は、しだいに人間に近づいてゆくショウゴを前に、互いを補完する愛を手さぐりする。人工知能研究の最先端を舞台にした3人の男女のもろく切ない愛。機械になっても心は痛むのだろうか。AC(アダルトチルドレン)時代のラヴ・サスペンス。
感想・レビュー
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すのう
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私立女子高で数学を教える那多の前に、昔の恋人である犬飼が突然現れ、奇妙なアルバイトを依頼してきた。コンピュータ内に人工生命として誕生した少年を教育して欲しいという。那多は、人工生命として誕生した少年に、昔自分を犯し自殺した教え子”ショウゴ”の名前をつけて育て始める―― 私は天才が登場する作品が好きなのだが、これもそんな作品の一つ。エンジニアとしては、こんな完璧な人工知能が作れたら本望だが、現実的に考えると、難しいよなあ、と思いながら読み終えた。2013/09/12
水沢晶
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2002年読了2003/10/12
蚊取り線香
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魅力的な悪党、執着のない同性愛、社会の裏の見えない暴力等、図子節全開の一冊。この作者の好きな所は主人公が仕事も含めてきちんと生活しており、一般人にはない優秀さ(だが不遇)とか過不足ない暮らし(だが不満)とか、ありがちな同情をひく設定がない部分。例によって現在は手堅く教師をしている主人公は、破滅的なかつての恋人に過去へと引き戻され、最先端のAI開発戦争に巻き込まれる…珍しくラストに引きがなく、きっちり結末がはまっているので、図子慧入門書としてもお勧めです。2009/07/06
Akko1454
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久しぶりに図子先生の本を読んだけど面白かった!現在の技術に合わせて変えたところがあるとはいえ、今読んでも古さがない(90年代の作品)のはさすが。そして文が美しい。 とはいえ、ゲロゲロとFAXが歴史を感じさせるw2022/11/15