内容説明
透明な海の水底で私はまどろみ続ける、あなたに抱かれた罪を抱きしめながら…。禁じられた初恋の物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
絹恵
26
温度を感じない笑顔を見せた兄は、神話世界に夢を封じ込める場所を見い出そうとしました。彼は誰よりも深海でしか逢えないことを理解していたから、遠く遠く離れることを選びました。でも海は繋がっています。だからこの水の冷たさも光のない暗さも熱い音も妹のなかに残したまま───二人は狡くてさみしい人。2014/08/20
くさてる
10
兄の謎めいた友人との夕暮れの思い出。死期が近づく父。外国に行った兄を待ち続ける妹には、新しい出会いが訪れる。濃密で歪んだ愛情の物語。どこまでも熱い泥に足を掴まれて逃げられないような気持ちで読み続けた。すごいなあ。これ、本当にすごい。読む人によっては全く受け付けられずに嘔吐したくなるような本かもしれない。でも、そうでない人にとっては、確かに歪んではいるけれども否定することは出来ない寂しい情熱の物語であるかもしれない。すごかったです。2014/08/16
るすみら
4
ああ。これは知っている光景だと思う。草熱れ(いさいきれ)の中に見る廃車の窓越しの風景。 ところで、この本を読んで一番に言いたいのは湯浅くんがかわいそうだということ。湯浅くん…強く生きてくれ。2012/08/22
ゆり
1
再読。珊瑚になるイメージ。病院の臭い。川原の廃車、いつの間にかいなくなった兄の友達。凄くさびしい話だと思う。2010/10/19
眠りスナメリ
0
高校生の頃に読了。自分好みの要素が凝縮されている本。年齢的にも良い出会いだったような。