内容説明
19歳。失われた家族の愛の奇跡に祈りをこめて―。幻を追う、私の哀しみはとまらない。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
チョコ
63
50歳を過ぎてようやくばななさんの良さが染み渡るようになり、続けて読んでます。設定はものすごく深刻なのに、淡々とさらりと描かれていて、それが心にじわっとしみてくる。弥生の気持ちの変化と共に、読み手がどんどん癒されて行く。ザワザワした落ち着かない気分の時に安らぎたい方必読。2025/03/30
催涙雨
56
先にべつのエッセイのなかでこの作品について触れているのを読んだ。そこには装画に作品の内容が端的に現れていることや、こんなに長い作品は初めて書いたというような旨のことが書かれていた記憶がある。どちらもわたしには正直ピンとくるものではない。後者に関してはいい意味でだ。たぶん処女長編なのだろうが、まったくそうとは思えないほどに洗練されている。表層のイメージは必ずしも明るいものではないが、深奥は叙情的で美しく希望の見える心地のよいものだ。2019/03/23
myoko
16
これも「雰囲気」で読む作品?と言っていいのだろうか?タイトルどおり哀しい予感。作品の雰囲気からにじみ出てくる悲しみや不安。そしてお父さんが教えてくれた姉の居場所。ラストでは何一つ解決はしていないようで、全て解決しているのだろう。すばらしい作品でした。2010/10/12
白雪ちょこ
15
作者の作品の中では、一番好きな話かも。 透明感があり、感情、そして男女の恋愛観なども美しいタッチで描かれている。 感情に正直になること。 それは時に毒となり、薬にもなる。 時と場合にもよるかもしれないが、人間自分に正直に生きることが、一番大事なのかもしれない。 それが深くわかる作品だった。
Moka
8
オススメ度★★★☆☆ 読みやすさ★★★☆☆ ストーリー★★★☆☆ 哀しい予感ということばには体温程の温もりがある。包まれていることに気づかないくらい儚いけど、失われると外気の冷たさを実感する。目を瞑ってじっとしていればそのままやりすごせてしまうのに、その予感を感じずにはいられない。確かめるには自分から脱ぎ捨てるしかない。メインのストーリーの他にいくつかの複合的要素が絡みついているので、主人公も読み手も騙し騙し話を進めていくことができる。筆者に優しく手を引かれて、一番知りたい真実には少しずつ近づいていく。2015/10/27




