内容説明
自然と人間との調和を定型に結実させる最新句集。
目次
哭壁の祈
冬眠の蛇
白夜の森
魴〓の顔
酒断の男
鎌倉の雨
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
miyuki
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10月26日より。縁ある俳人の句なので通読。東大総長をもつとめた作者の、人間としての大きさを感じさせる奔放な句が多いように思う。和洋に拘らず、神仏の類がすらすらと出てくるところなどである。だが、スケールの大きいものばかりでなく、生活実感に触れるものもあり、総じて素材の選択、語のつなぎが上手いと感じた。しかし、年代のちがう場所と場所とで似たような類想句がいくつかみられて、そこにすこし物足りなさも感じた。風景描写よりは、心情描写を感じさせる語法、素材選択の句が多く、景より詩情のまさった俳風であると言えそうだ。2015/10/28