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内容説明
室町初期。将軍臨席のもと、大観衆を集めて行われた華やかな田楽興行で、見物の桟敷が崩れ落ち、数百人が死傷する惨事が起きる。戦災孤児の少年・犬弥はどさくさにまぎれ、死んだ舞い手・花夜叉の遺骸から美しい紅の衣を奪い取るが、そこから思いもかけなかった運命が開けてゆく。後世、天女舞の名手として世阿弥や足利義満に絶賛され、観阿弥とともに初期能楽に一時代を築いた犬王太夫の、傷つき、悩みながらも懸命に自分の生きる道を見いだそうとする波乱の少年時代を描く。
著者等紹介
永田ガラ[ナガタガラ]
1970年、京都府生まれ。京都府立大学、京都大学大学院で中世~近世日本史を学ぶ。新聞社勤務の傍ら小説を書く。能楽の大成者・観阿弥の若き日を描いた『観』にて作家デビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
いずむ
12
前作の『観』が舞の迫力を感じた『外』とすると、今作は舞うものの精神性が著させた『内』の作品、だと感じました。舞のためなら命も惜しくない、そんな壮絶な主人公の精神には、気圧されるものがありました。。2010/07/16
カナリア
6
あとがきを読んだら、犬王という役者は実在の人物だったようです。まだまだ、スポットが当たっていない歴史上の人物がいるのだと思うとワクワクしました。能について、私は詳しくありませんが関連本を読みたくなりました。2014/02/27
タカユキ
3
なんだ、能が書きたいのか、犬弥の成長物語が書きたいのか、それとも男色変態どもが書きたいのか、はっきりしてくれ。2010/06/05
廻
2
「観阿弥」が主役の『観』の続編に位置づけられる「犬王」が主役の『舞王』。どちらも時代の底辺を生きる芸人の芸による生き様を描いた作品。しかし、前巻もそうでしたが芸人の挫折や天啓の場面が常に同性による性的辱めに関係しているのはどうかと・・・人以下の存在である芸人の過酷な現実の描写というよりも作者の趣味としか思えない。 蔑まれているのだと強調したいのはわかるけれど、他に表現はなかったものか・・・2010/07/05
きるる
1
【印象に残ったこと】観阿弥がじじいに責められるシーン。舞は、元々服従のしるしだったそうな。征服された部族が、征服者の前で舞って、反抗の意思が無いことを示したらしい。それをまさかこんな感じで表現されるとは…。 【一言】私は、少年が主人公の物語が好きなので気に入りました。前作があったこと事に気づかなかったので、本作だけでも楽しめると思います。2012/08/22