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内容説明
絵を一枚仕上げるたびに、絵にサインを入れるたびに、もうやめよう、これで最後にしようって、考える―それでも私は、あなたのために絵を描こう。かつて彼女と過ごした美術室に、彼は一人で戻ってきた。そこでは、長い髪の女生徒の幽霊が出るという噂が語られていた。これは、不器用な人たちの、不恰好な恋と旅立ちの物語。
著者等紹介
柴村仁[シバムラジン]
第10回電撃小説大賞“金賞”を受賞。2004年作家デビュー。『プシュケの涙』で新境地を切り開き、既存のカテゴリーにとらわれないその作風が高い評価を受ける(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
❁かな❁
142
プシュケの涙、ハイドラの告白に続く第三弾。完結編。ラストシーンがとても感動して良かったです♪今作も後半がいいです!由良彼方のその後が描かれていてプシュケシリーズを読んでいる方には読んで頂きたいです!やっぱり由良は素敵ですね!三作の中では私はプシュケの涙が一番好きです♪プシュケの涙を読んだからこそ三部作全部読もうと思いました。ラスト数ページ、じーんとして最後の2行とイラストを見てウルウルしました(;_;)吉野と彼方を思うと切ないのですが最後の最後で少し救われた気がします☆ラスト2行が本当に良かったです♪2014/05/05
黒瀬
129
由良シリーズを3作続けて読んで良かった。恒例となった二部構成と後部の切なくて痛く、それでいてどこかに救いがあるような透明感のある描写が好き。長い髪を持つ女生徒の幽霊が出る噂がある母校に教育実習生として彼は帰ってきた。生徒の前だからか変人っぷりは鳴りを潜めていたが、それは成長?はたまた衰え?良くも悪くも由良は大人になってしまったんだ。初めて表情まで描かれた挿絵がラストシーンで登場し、この笑顔をおそらく何度も見ていた少女が既にこの世を去っている事実が重く伸し掛かる。でもあの笑顔は心からのものだったに違いない。2020/01/26
☆ゆう☆
122
由良シリーズ三作目。今回は前作から時間を置かずに読めたので、割と入りやすかった。前半は、彫刻家のアトリエでのミステリー。「死に向かって落ちるとき、人間は何を見るのか、俺に詳しく教えてください」という由良彼方。苦しかった。何年経っても吉野彼方の存在が大きいことが伝わってくる。ラストで絵を見つめ続ける姿が印象的だった。また後半は、彼方が教育実習として母校に戻った。由良が笑ってる、と嬉しくなったけれど、やはり彼方が言う「大事にしなさい」は重みがあった。ようやく少しだけ気持ちが前向きになったのを感じられた。2016/06/06
りゅう☆
101
ハルや由良美大生4人で彫刻家狩野のアシスタントをすることに。自殺した生徒や狩野のゲイ疑惑あり。狩野夫妻に違和感を覚えつつ、そこで腐乱死体を発見。それはもしかして狩野かも?本格的ミステリーっぽい感じ。狩野が制作した悲恋の女性像をモチーフにした小説『泥の仮面』の存在、インソムニアのデータとは?「不器用な人たちの不格好な恋と旅立ちの物語」に大人のドロドロが関わってる?そして教生として再びあの美術室に戻って来た由良。「おー!なったるぜー!」という言葉と心温まるような由良の笑顔に前に向かって歩み始めたことが嬉しい。2018/07/21
財布にジャック
88
彼方にもう一度逢いたい一心で、国立国会図書館に雨の中読みに行きました。個人的にはハイドラがイマイチだったのでちょっとだけ心配でしたが、読んで良かったです。内容的には、プシュケには及ばないかも知れませんが、成長した彼方に逢えただけで読む価値ありです。私はこれを読むには歳を重ねすぎていますが、若い世代にはお薦めの三部作だと心から思いました。2012/03/02