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内容説明
至高の美少年ながら母に遺棄された過去を持ち、“犯罪者の遺伝子”に傾倒する春野。父が愛好するアニメキャラクターの実体化として作られた少女レイ。遺伝子操作を拒絶する両親を持つ“遺伝子貧乏”清田―16歳の夏に出会った3人は、反発しあい傷つけあいながらもかけがいのない友情を築いていく。遺伝子工学が発展し、子どもの容姿の“デザイン”が可能になった仮想現代を舞台に、社会によって歪められた少年少女の屈折や友情を描く、著者渾身の青春ストーリー。
著者等紹介
壁井ユカコ[カベイユカコ]
第9回電撃小説大賞“大賞”を受賞し電撃文庫『キーリ 死者たちは荒野に眠る』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
えりこんぐ
65
壁井さんといえば、部活モノを何冊か読んだがこれも面白い! 遺伝子工学分野だけが極端に発展してしまった仮想現代で、子供はカタログで選ぶもの。容姿や頭脳、性格傾向も親の思いのままに。思ってたのと違う、と親に遺棄された春野、美少女アニメキャラの実写版に作られた冬上、自然分娩で生まれ劣等感の中で過ごしてきた清田。設定はぶっ飛んでるが中高生の描写はやっぱり上手いなぁ。暗くなりがちなストーリーで、部長の普通っぽさ、知佳さんの豪快さに救われる。知佳さんすごくいいなー。しかしこんな時代になったら親のエゴ品評会ですね。2017/10/03
ゆかーん
52
「隣の芝生は青い」という例えがありますが、人は皆、誰かを羨ましがりながら生きるように思います…。この世界では遺伝子組み換えを行い、自分の子供の容姿や性格、能力に至るまで自由に組み替えることができます。事前に病気を防いだり、コンプレックスを取り除いたりと喜ばしいことが沢山ありますが、その分、自然妊娠が出来なくなったり、親から強いプレッシャーを受けたりと辛い事件が後を絶ちません。行き過ぎた大人の行動によって、子供たちが人形のように扱われる社会が確立したら…全世界の人間の欲望が満たされる日は訪れるのでしょうか?2015/09/09
honoka
45
2009年。最後、そうきたか!やはり壁井さん侮れないなぁ。ブラックだよ。容姿や性質などが遺伝子操作された子どもが生まれる仮想現代、予想のつかない展開に簡単に惹きこまれる。綾波レイに模された冬上レイは容易に、倫太郎や清田も山川あいじさん絵に変換して読了。倫太郎のような歪んだというか猟奇的な性格にどうも自分は弱い(仮想でのみ)。「トランスジェニック・チャイルドの罠」でモンサントを思い出しザワザワする。「無印」も読んでみたい。2016/05/17
さおり
37
Kindle Unlimitedで。おもしろかった。著者によれば「遺伝子工学分野だけが極端に発展してしまった仮想現代において、そんな社会の歪みに振りまわされつつうろうろする若者たちの青春小説」だそうだけど、全然青春小説じゃないな!爽やかさが欠片もないもん。春野は飄々としていそうで不器用で、とてもバランスが悪い。他の登場人物もみんな、なんだか座りが悪くて、この居心地の悪さがこのお話の魅力かなと思いました。2020/04/09
た〜
35
期待以上に面白かった。もっと重苦しい展開なのかと思いきや、軽いテンポで進み笑いを誘う場面も多い。しかし、メインテーマはなかなかエグい。それも一歩間違えればそんな世界もありかもしれないというギリギリのラインを突いて来ている。ラストのオチにも思わずニヤリ2015/02/11