内容説明
開国は異文化との衝突でもあった。外国人を敵とみなし排斥しようとする攘夷の嵐は、「異人」に対する殺傷事件を頻発させた。開国から百数十年、外国人殺傷事件を、新たに発掘した海外資料を中心に再検証し、外交史の暗部に光をあてた、歴史ドキュメント。
目次
第1部 攘夷の凶行(攘夷思想の高まり―ロシア士官と水夫を横浜に誅殺;歪んだ「異人」観―フランス領事館の清国人ボーイを斬る;異文化を体験した男―イギリス公使館の通弁伝吉を刺殺;治安維持の限界―オランダ人船長二人を横浜で斬殺;流浪の果てに―アメリカ公使館通訳ヒュースケンの暗殺;攘夷派への圧力の中で―イギリス公使館を夜襲)
第2部 攘夷への報復(攘夷論から開国論へ―生麦事件と薩英戦争;鬱積する不満―御殿山イギリス公使館焼打ち;暴走する「攘夷」―頻発する殺傷事件;攘夷勢力の鎮圧―新政府の試金石)