内容説明
55年の沈黙を破っていま語られる日中秘話。奉天軍閥張学良が、張作霖爆殺事件より西安事件までの謎をときあかす。
目次
第1章 張学良の登場(張学良の青年時代;張作霖爆殺事件と張学良;葬られた真相)
第2章 若きリーダー(張学良を満州の皇帝に;50万元の政治献金;日本との訣別と東北建設;満州事変前夜)
第3章 満州事変と満州国建国(満州事変〈9・18事件〉勃発;不抵抗将軍の汚名)
第4章 運命の西安事件(国共内戦の中国;蒋介石との対立;西安事件起こる)
第5章 半世紀にわたる監禁生活(軍事裁判、そして軟禁生活へ;民族の英雄・張学良)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たす
8
蒼穹の昴シリーズで興味を持った張学良。清朝崩壊の混乱期に中国東北部の有力者張作霖の長男として生まれたものの、父は日本軍に列車ごと爆殺され、中国内乱勢力とその期に乗じて中国侵攻を目論む日本といった、様々な思惑が入り乱れる昭和初期の中国において、彼がどのような思いをもって行動したかが分かる貴重なインタビュー。高校世界史の授業で習った時は、「不抵抗将軍」「西安事件により人生の大半を幽閉された人」といったイメージしかなかったが、中国人として信念をもって生きた彼の姿が浮かび上がる。2021/07/24
氷菓子
3
歴史の当事者の生の声の説得力を痛感した。不可解だったり合理的でない行動について、中国人同士で争って犠牲者を出すことを避けたかったという彼の気持ちを聞くと納得させられる。満州事変後に不抵抗だったのは、日本が言いがかりを発端に侵略すれば列強が黙っていない、それを分かっている日本は侵略しないとの考えに基づく。しかし当時の日本は学良の予想を超えて狂っていた。学良は良識を持っていたが世界が厚顔無恥だったのである。本人談は保身のために嘘をつく可能性もあるが、記されている受け答えは誠実で歴史の真実である可能性が高い。2021/04/17