内容説明
ウォールストリートの食物連鎖の頂点に君臨する「クオンツ」と呼ばれる天才数学者たち。彼らは、平凡な人間には解読不能な微分学、量子物理学、応用幾何学を駆使して金融商品の値動きを分析し、莫大な利益を上げてきた。だが、彼らの開発した数々のデリバティブ（金融派生商品）や数理モデルは、史上最大の金融崩壊の引き金となってしまう。天才たちはどこで何を間違えたのか―。ウォールストリートの内幕を暴く驚愕のノンフィクション。ＮＹタイムズ・ベストセラー。
目次
オールイン
ゴッドファーザーことエド・ソープ
マーケットをぶっとばせ
ボラティリティ・スマイル
四人のクオンツたち
オオカミ
ザ・マネー・グリッド
夢の実現
「将来の成功を祈っている」
八月の異変
運命の時計
欠陥
悪魔の仕業
ダークプール
著者等紹介
パタースン，スコット［パタースン，スコット］［Ｐａｔｔｅｒｓｏｎ，Ｓｃｏｔｔ］
ウォールストリート・ジャーナルの記者として活躍中。金融業界の最新テクノロジーに詳しい。『ザ・クオンツ―世界経済を破壊した天才たち』が初の著作
永峯涼［ナガミネリョウ］
上智大学外国語学部卒（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
102
やはりアメリカは本当の資本主義国家なのですね。数学者はデリバティブに自信のある個人が株式市場で儲けるために様々な手法を発明あるいは駆使して儲けようとする実態がよくわかります。読み物としてかなり面白く書かれています。ただアメリカは法律に抵触しなければいいのですが、日本にはかなり規制やガイドラインというものがあり、ここに書いてあるところまではできないのではないかと感じました。金融工学の先端を行く感じがしています。2016/02/19
harass
51
理数系の天才たちが旧態依然の金融界に殴り込んだ。ポーカーの必勝法をみつけた数学者の論文に熱狂した連中が、これまでになかった金融商品と分野を見つけ出し、莫大な利益を生み出す錬金術を作り出したのだが、2007年リーマンショックで、彼らが考えたサブプライムローンが発端で未曾有の金融危機を招いてしまう。4つのヘッジファンドのエピソードを描くノンフィクション。まあ、この大混乱で利益を得るヘッジファンドも存在したのも確か。予備知識が必要だが、物語よりなので読みやすいかと。天才たちは人間の感情を予想できなかった。2024/09/10
柳瀬敬二
8
理系最高クラスの収入を誇る職業クオンツ。日本でもその年収は簡単に2000万を超えるという。ウォールストリートの頂点に君臨する彼らは数億ドル単位での売買を繰り返し、豪邸でのパーティ、美術品の収集などまさに現代版貴族としての生活を謳歌する。だが、人間の狂乱という不確定要素を計算に入れていなかった彼らはリーマン・ショックを引き起こしてしまった。学生時代は所謂ナードに分類されるであろうクオンツ達に荒稼ぎされた挙句、経済をズタズタにされるというのは、マッチョ主義のアメリカではなおのこと耐え難かっただろう。2015/01/27
阿輸迦
4
クオンツとは、数学や統計学などの知識を背景に、数量的なデータを分析・活用してモデルを構築し、金融資産への投資を行うこと、または投資を行う専門家を意味する。本書の最後は、リーマンショックでクオンツを擁する多くのヘッジファンドが崩壊するまでが書かれている。ニュートンが南海泡沫事件で株投資に失敗し2万ポンドの損をするが、その時のニュートンの『自分は天体の運動を測定することはできるが、人間の愚かな心理を測定することはできない』の言葉は、本書を象徴している。マイケル・ルイス「世紀の空売り」を併せて読むと面白い。 2018/09/07
eda
3
「人間よりもコンピュータのほうが信頼できるという結論に達した。機械を信用せよ、というのが彼らのマントラになった。」 シタデルとケン・グリフィンに関する情報が特に面白かった。 「オレは次のゴールドマンサックスを作りたい。でも、バンカー抜きのゴールドマンだ。バンカーがこの会社で働く姿なんか想像できるか？」 シタデルが弱ったヘッジファンドからポジションや会社を買収するアプローチを取っていた。巨大なポーカーテーブルの上ではチップを失ったプレイヤーは圧倒的に不利になる。2024/06/12
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