グノーシスの薔薇

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  • サイズ B6判/ページ数 324p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784047914889
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

ルネサンスが爛熟する欲望の都イタリア、ローマ。キリスト教世界の頂点、教皇庁に紛れ込んだ一人の異形の小人。歴史の陰で暗躍し運命の糸を引くその小人は、密かに異端の教義グノーシスを信奉していた。折しも宗教改革の狼煙があがり、異端審問官が魔女を焼く炎が燃え盛る頃、ラファエロやレオナルド・ダ・ヴィンチ、枢機卿らと共に美食、男色、乱痴気騒ぎを繰り返していたレオ十世。狂乱の末天寿をまっとうしたかに見えた、その死の真相をたった一人知る小人が手記を綴りはじめる…。ストイックな秘儀と血腥い謀略が交錯する混沌の果てに見える一筋の光。聖なる官能と至高の頽廃を描く、これぞゴシック歴史ロマンの到達点。

著者等紹介

マドセン,デヴィッド[マドセン,デヴィッド][Madsen,David]
ロンドン生まれでローマに長いこと留学していた哲学・神学者という以外、本名や詳しい経歴は謎のままにされている
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

248
帯は明らかに羊頭狗肉だ。『薔薇の名前』の荘厳さは全くここには見られない。ウンベルト・エーコが紡ぎ出す神秘性、空間をも時間をも超越した奥深さ、秘儀と異端の香りからは遥かに遠いのだ。語り手のペッペはグノーシスの徒ということになっており、確かに作中でも何度かグノーシスの「反宇宙的二元論」に言及されるが、それらは所詮は便宜的なものに過ぎない。つまり、一貫して通俗的なのだ。比喩もまたそうだし、訳文の表現も「いちゃもんをつける」などとヒンがない。また、面白さにおいても残念ながら『ダ・ヴィンチ・コード』には及ばない。2015/06/17

遥かなる想い

147
ルネサンス時代のローマを舞台にした物語である。 ペッペが仕えるレオ10世の描写は 俗悪で 容赦がない。宗教とエロスとグロが 満載の物語…歴史絵巻だが、絢爛豪華とは ほど遠く、異端宗教への迫害は 凄まじい。 全編に渡る 猥褻な世界が 特徴なのだろうか …ラウラとの日々だけが、逆に心に残る、 不思議な物語だった。2019/09/18

藤月はな(灯れ松明の火)

98
以前、読んだ『カニバリストの告白』に馴染めずに苦しんだ作者のデビュー作。「ガーディアンに登録されているから」という理由で恐る恐る、読むもなんだ、面白いじゃない! 「人間は皆、変態」と割り切れた今では偉人によるエログロなんて些細なことだし、寧ろ、読みやすい。そしてペッペは「この回顧録でも卑猥な言葉を使っているのだから」と卑下しているけど、大丈夫!現在の言葉に比べればマシだし、言葉遊びなどのユーモアもあるから寧ろ、上品だよ!そしてこの作品は江戸川乱歩の『芋虫』に匹敵する純愛小説なんじゃないかと震えるしかない。2017/05/11

扉のこちら側

89
2017年192冊め。【303/G1000】歴史ものは楽しむ下地となる知識がないので、普段は敬遠しがちである。しかしこれは良くも悪くも猥雑で猥褻で、品のなさ故に難しく考えず読めた。ただ好みではない。人間の善良さも悪さも狡さもこれでもかとさらけ出す、まるで内臓をぶちまけるかのように。汚辱にまみれた彼らがこれから灯す炎は、温かいか、明るいか。2017/02/23

NAO

76
グノーシス教義の信奉者小人のペッペがカトリックの最高権威者である教皇に仕え、彼の相談役になることもあったという、信じられないような設定。しかも、ペッペは、自分の立場を利用して、異端判決を覆させようとしたり、異端審問官フラ・トマーゾを陥れようとしたり。いくら寵臣とはいえかなり無理な設定。それとも、異端の徒がすぐ身近にいても気づかないほどに教皇庁は腐敗しきっていたということか。なにしろ、レオ十世も、ラファエロもダ・ヴィンチも、これでもかというほどにグロく描かれている。⇒2020/09/27

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