活きる

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  • サイズ B6判/ページ数 260p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784047914117
  • NDC分類 923.7
  • Cコード C0397

内容説明

老人は語る。朗々と歌い上げる民謡に想いを込めて、時には笑い、時には涙を流しながら、自らの過去を語る。地主の放蕩息子はバクチに身を滅ぼし、親を亡くし、国民党軍に徴用される。飢えと戦闘の中で命を取り留めながら、解放軍の捕虜となり、ようやく家に戻れば降りかかる数々の病苦と災難…。その苦しみは想像をはるかに超えて苛刻だった。しかし、その人生を語る老人の姿は魅了されるほどに潔い。四十数年の時を経た今、老人が口ずさむ歌には、生き続けることの意味が重く響いている―。中国で二十万部を超えるベストセラーとなり、香港、台湾に続いて欧州各国で翻訳出版。世界的名匠、張芸謀監督により見事に映画化された。今もっとも高い評価を得ている現代中国の作家、余華の傑作、待望の本邦初訳。

著者等紹介

余華[ユイホア]
1960年4月3日、杭州生まれ。医者の両親の勧めで、町の診療所の歯科医となるが性に合わず、1983年より文芸創作を始める。1987年に発表した『十八歳の旅立ち』が出世作、その後『四月三日の事件』(87年)『世事は煙の如し』(88年)など続々と中篇小説を執筆。伝統的なリアリズムの枠組みを打ち壊した手法の新しさと実験性から、「先鋒派」と呼ばれた。長篇第一作『雨に呼ぶ声』(91年)に続いて、92年に『活きる』を完成。「先鋒文学への反逆」と言われる本書は新たな読者を獲得してベストセラーとなった。台湾と香港での刊行後、フランス、オランダ、イタリア、ドイツ、韓国でも翻訳出版されている。1998年、グランザネ・カブール文学賞(伊)を受賞

飯塚容[イイズカユトリ]
1954年、札幌生まれ。専門は中国現代文学、演劇。東京都立大学大学院修了。現在、中央大学文学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おさむ

39
チャン・イーモウ監督の映画「活きる」はわたしの観た映画のベスト5に入る名作です。戦争、革命と社会の大変革が起きる中で、主人公の福貴が相次ぐ不幸に見舞われながらも、しぶとく生きていく。人生のあやふやさと同時に人間が根っこに持つ逞しさ、生命力に此方も励まされます。原作となった本著では、映画以上に過酷な人生を歩みますが、それだけに中国人の強かさが一層浮き彫りになります。余華さんの新作が出ているようなので、読みたくなりました。2017/08/17

ち~

28
地主の息子である主人公は、博打で土地、家などの財産の全てを失った。残されたのは両親と妻と娘。働きもせず、妻に酷い仕打ちをし続けた主人公もついには心を入れ替え真面目に働き、家族を愛するようになった。飢饉や社会情勢の変化により、度々食うに困る事も。家族が増える喜びもあれば失う絶望も繰り返される。もう立ち直れないのではないかと思う別れを重ねても、それでも主人公は、静かに生き続ける。その姿にただただ圧倒された。2017/12/13

うぉ

16
激動の時代。個人の努力など意味を為さないスケールで人生や命が振り回される。芽生えた幸福はすぐに摘み取られ、時間が過ぎれば過ぎるほど、変化に対する感度は鋭くなると同時に麻痺していく。8割くらいの無力感と2割くらいの希望との間で揺れるだけの定常状態。生と死を超越した第三の状態があるとすれば、それが活なのかもしれない。2019/09/23

mamagotoset

5
映画よりずっとよかった。悲しい内容なのに悲しく感じさせない。2017/01/21

とんこつ

3
国共内戦から文化大革命までの中国を背景にした、農村に生きる一人の男とその家族の物語。解説に「生き残ることと生き続けることの違いはどこにありますか」との読者からの質問に「生き続けることには実感がある」と答える余華だが、激動の時代に揺さぶられながら生きる家族の姿には、苦しみの中にあってみんなで生きているという幸せを確かに感じる。どれだけ絶望的な状況に置かれたとしても、決して諦めることをせず――そして希望とユーモアも失わずに――生き続けていこうとするのは、或いは中国人の強さであり智慧なのかもしれない。2016/05/14

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