内容説明
雨が躰をつないでいた。SEX、同性愛、血、空想、墓―。人気翻訳家・柴田元幸が選んだ“生と性”8つの海外文学。少し哀しく滑稽なショートストーリー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
mejiro
7
ジョン・マッギャハン「僕の恋、僕の傘」、パトリック・マグラー「ブロードムアの少年時代」がおもしろかった。いくつかは既読。マグラーのエッセイが、特殊な環境で育った思い出を書いていて異色だった。本書を改題、再編集した『燃える天使』が角川文庫に収録。2015/04/12
justdon'taskmewhatitwas
2
棚の奥から出てきて【再読】。新書版ソフトカバーの159頁で\1,400の値札とは、当時フランス'98も済んで僕も世間も浮かれていたのだと思う。全編ゴシックフォントなのもどうかしている。此度もグッと来た、まるでやまだないとか南Q太の漫画のような『愛の跡』。フィリップ・マッキャンなる作家はこれこそ柴田元幸の創作かと思われたが、英語版Wikipediaで確認できる。2020/05/13
くさてる
2
海外文学の青春小説、恋愛小説のアンソロジー。けれどどの作品もどこか歪で、普通でなく、読み手に親切では無い感じ。なので、ちょっと入り込めない世界かなという印象。けれども、恋愛でも青春ともちと違う幽霊譚としての「ケイティの話」が素晴らしく良かった。何かが入れ替わっていく男女の双子の禍々しさがとても印象的でした。2012/10/03
もりえんてす
0
『燃える天使』に収録されていない作品は『悲しみ』と『緊急』だけだったが、どちらも良かった。ドラッグを扱う作品って日本人が書くと退廃的になるけど、翻訳小説だと妙に爽やかなのってなんでだろう? 国民性の違い? 翻訳というフィルターがかかっているから?2012/08/23
azimuth
0
青春小説、恋愛小説というテーマだそうだけど、どことなく影のさした作品ばかりなのは、柴田さんの好み?知らない作家も多く、また『読みたい本』が増えてしまった。「僕の恋、僕の傘」止まない雨と傘、全体に漂う物憂い雰囲気、閉塞感。これぞ英国!と思ったがアイルランドだった。「悲しみ」薄井ゆうじ「ぽ・先生」に似てる。「この世の習い」ストーリー自体は陳腐でも筆に力があれば新鮮で独自の色を持った作品を生み出せる、だから短編が好き。結末の切り替えが鮮やかでものすごく好み。「ケイティの話」アイルランド版「ねじの回転」だった2011/08/08