内容説明
神話・哲学・宗教はもちろん、ごく身近な日常の出来事や、現代の小説・戯曲など、非常に広い分野から例をあげ、それぞれをいかに現代生活に取り込むべきかを、キャンベル独特の発想法で紹介する。
目次
第1章 科学は神話にどんな影響を及ぼしたか
第2章 人類の出現
第3章 儀式の重要性
第4章 東洋と西洋の分離
第5章 東洋宗教と西洋宗教の対立
第6章 東洋芸術のインスピレーション
第7章 禅
第8章 愛の神話
第9章 戦争の神話と平和の神話
第10章 精神分裂病―内面世界への旅
第11章 月面歩行―宇宙への旅
第12章 結び―もはや境界線はない
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
抹茶モナカ
16
キャンベルの講演録。神話についての講演なのだけれど、話題がいろいろな方面に渡り、博識な学者なのだな、と圧倒された。東洋に言及する時、日本文化を引き合いに出す事が多く、日本人として嬉しかった。それなりに歯ごたえのある本です。2015/01/12
おさむ
13
先日、村上春樹さんが共同通信のインタビュ-で言及していたキャンベルの講演集。古今東西の神話、宗教、哲学、文化を巡る考察はときに難解でした。が、世界の民間伝承に含まれる象徴形態を精神的に人類に内在する可能性としてとらえる思想には共感。「知の思索」といった言葉がぴったりで、読み返してかみしめたい本です。2015/05/06
吟遊
10
正確には角川ソフィア文庫での再版を読んだ。ジョージ・ルーカス、村上春樹、絶賛という帯。この本は講演集。「英雄が故郷を離れ、驚異に合、帰還する」という説は、この本にはあまり登場しないが、話題が多岐に渡るため、キャンベルの思想の骨組みは掴みやすそうだ。東洋思想はこうだ!という断言、おそらく専門でない分野からの自由な引用などを見ていると、いまの日本で言うタレント学者であり、一次資料に当たる緻密な学術的手法を軽んじていることがわかる。それで気を引きやすい単純で面白そうな主張をするから大衆受けするのも納得。2017/01/13
shishi
10
[A]宗教、精神分析学、文学、人類学など幅広い視点から神話を考察した本。おそらく訳がすばらしいのと、講演の記録なども入っているため、読みやすかった。洋の東西を超えて共通するユング的物語元型、仏教的秘儀、宗教的な倫理についての考察が溢れていて面白かった。ものすごく神秘主義的っぽいところもあるし、そうじゃないところもあって、そのバランスが絶妙だった。2014/02/08
シフ子
7
家庭は有袋類の袋であり 第2の子宮である。精神的に成熟した大人になるためには 一度その依存から卒業しなければならない。今日では幼児性からの脱却が困難になり 神経症患者とは「大人になるための第二の誕生ができなかった者」と定義できる。大人は 失敗や問題を 両親や国家、社会秩序のせいにするのをやめ 自分の行動に全責任を負うことが求められる。これは 古今東西の神話に繰り返される主題であり 第2の誕生に出遅れたものは 老齢になると無意識の海で溺れる。だが神話を幼少時に聞かされていれば 危機に対処できるという。続く2010/03/25