内容説明
1490年の冬のある日。オーストリアの古城で印刷工場を営むシュタイン一家の前に、吹雪の中を一人の身なりの貧しい少年が現れた。「第44号、ニュー・シリーズ864962」と名乗るその謎めいた少年に、主人は食事と宿と、印刷見習工の職を与えた。ところがそれに不満を抱く人々が少年を追い出そうと、数々の無理難題を課すのだった。そんな彼らに少年は次々と不思議な現象をもたらし始めるのだが…。幻想と深いペシミズムに彩られた異色小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
まふ
95
マーク・トウェーンの遺作。不思議なファンタジー仕立ての警世の書であり、人世達観の書であった。舞台は15世紀のオーストリアの古城。印刷業の親方ハインリヒの下に44号という名の不思議な少年が現れ不思議な力を発揮して徒弟どもの秩序を混乱させ異次元の世界に引き込む。44号は魔法使いであり、人間の「複写」を作り時間を逆転させる。最後にこの世はすべて「無」であり「幻影」であると語る。このくだりで感じたのは般若心経の五蘊皆空の「空」の世界であった。スゴイ!マーク・トゥエーン恐るべしである。G1000。2023/06/09
A.T
11
トウェインの没後発見された謎多い作品という本書。物語の始めはSF、さてはてファンタジー作品かと思ってしまった。舞台は中世ヨーロッパ、オーストリアで印刷工場を営む屋敷、そこへ実名を持たない44号と名乗る襤褸を纏った少年が現れてー。人間とは何かを問う哲学的テーマを扱いつつ、トウェインならではのから騒ぎなストーリーが展開。何度も展開が飛ぶような荒削りさがありますが、スケール感はさすがだと思いました。2016/12/03
shirokuromarble
4
トウェイン最晩年の作。死語に発見された原稿ということでこの段階で発表する意思はなかったと思われる本書。トウェインが晩年に到達したであろう哲学が詰め込まれている。舞台は中世ヨーロッパ。キリスト教が絶対的な権力を誇る時代に表れた「悪魔的」な思想と力をもつ少年。彼の登場とともにさまざまな不可思議なことが起こり…。という物語。15世紀の欧州ほどではないにせよ、トウェインのいた100年前のアメリカでもこの宗教批判はなかなか勇気がいったんでは?インド哲学にも通じるところがあって、現代を生きる私にはとても面白かったが。2016/02/16
はんみみ
3
【マーク・トウェイン誕生日読書会】10代後半に読んでやたらと感銘を受けた覚えがあるんだけど…訳文のせいか原文がなのか、妙に読みにくいし暗いしひねくれてるし人間くさいし救いはないし、よく読み通してしかも友人に薦めまくったな、と過去の自分に呆れつつ読んだ、が、そうだーこういうインナーワールドな話好きだったー、今も好きだー! *再編されてかなり印象の違う版もあるようなのでそちらも気になる 2015/12/01
Kazuki
2
不思議な少年が印刷工場に現れ、様々な現象を引き起こしながら人間の浅ましさを語る。 根暗すぎる作品2020/10/18




