ミサゴの森

ミサゴの森

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  • サイズ B6判/ページ数 342p/高さ 20X14cm
  • 商品コード 9784047911970
  • NDC分類 933
  • Cコード C0397

内容説明

戦場からイングランドの実家に戻ったスティーブンは、兄の様子がおかしいことに気づいた。考古学者だった父が長年にわたって調査していた森を、兄のクリスチャンは毎日のようにさまよっていた。家の中は荒れ放題で異様な臭いが漂う。兄は森に憑かれていた。森が生みだした少女グゥイネスの幻影に恋していた。少女は神話時代から抜けでてきたようないでたちで古代語を話すという。兄は狂ったのか、父がそうであったように兄は少女を探して森に消えた。父が残したノートによれば、この森には人の思いを実体化させる不思議な力がはたらいている。森はいまだ原生林に覆われ、すでに絶滅したと思われている野生動物が棲息する。いくら歩いても決して中心に辿りつくことができない。そしてある日、スティーブンの前にも森の少女グゥイネスが現れた…。神話の原型に迫る問題作、待望の邦訳。世界幻想文学大賞、英国SF協会賞、英国作家協会賞受賞。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

眠る山猫屋

51
神話は綴じた。再読。ライホープの森。一週20分で廻れるが、通り抜けた者はいない・・・。時折森から現れる異形の人々、垣間見れる遺跡。森の研究に明け暮れて死んだ父、そして新たに森に取り憑かれた兄。スティーブンは森の縁で少女グウィネスと出逢い恋におちる。グウィネスが森の生んだアニマだと知っていても。この森は、太古からの記憶を宿し、具現化する森。それは“時代”の記憶でもある。ロビンフッド、アーサー王、さらに神話の源泉へ。父と兄弟の相克、恋の盲目。人類のイド、記憶の源泉へ遡る旅は残酷だ。2022/07/02

Mark.jr

4
タイトルのミサゴは神話(ミサ)と成像(イマゴ)が合わさった造語。人の深層イメージを実体化させる森の物語です。現代的なファンタジーらしいSF的ともいえる理屈づけがされていますが、話が進むにつれ登場人物もミサゴの森の神話の一部として取り込まれていくかのような原生感が増していくのが、特徴的です。2021/06/14

円盤人

4
1985年の世界幻想文学大賞受賞作。足を踏み入れた人間の集合的無意識と反応して、ミサゴを生み出す太古の森。ミサゴは作中の造語で、森が作り出した神話の祖形となるような人物、生命体のこと。作中にもロビン・フッドやクーフーリンという英雄のミサゴが登場する。しかし彼らはチョイ役でしかなく(セリフすらない)、話の中心になるのはハックスレー父子・兄弟の、グウィネスという女のミサゴを巡るいがみ合いであり、その意味でスケールが大きいのか小さいのかよくわからない。『金枝篇』とか好きだったら面白いかも? 自分は……うーん。2018/06/14

Valkyrie

3
休暇中につき平日午後の静かなファイヤーキングカフェにて。 英国の神話がいくつも出てくるから神話に詳しくないと「?」になる。実際、アーサー王とゼウスの話くらいしか判らなかったし。ミサゴは「惑星ソラリス」の人もどき、「黄泉がえり」の黄泉がえり人を連想させる。ミサゴとは鳥の「鶚」ではなくMyth(神話)+Mago(成像)の意味。2007/05/08

ヴィオラ

2
「SFが読みたい」補完。ホールドストックの描く男女関係は、どこかイビツ…な気がする(^_^;)今作も、どことなく男の妄想小説。全然本の感想になってませんが…(^_^;)現代においては、戦争がミサゴを創り出してるっていう話が面白い。2011/02/27

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