内容説明
〈スカヤグリーグ〉―それはハンディキャップを背負う人々が絶体絶命の危機に追いつめられたとき、その人の下に現れる伝説の救い主であり、奥の深いコンピータ・ゲームのタイトルである。ゲームを作ったのは、自ら重度の脳性麻痺を苦しむ女性、エスターだった。明晰な頭脳と、コンピュータについての才能に恵まれて、彼女はこのゲームにすべての力を注いだ。それは父親への複雑な愛を体験するゲームである。「伝説」の主人公にして語り手アーサーとかれの〈スカヤグリーグ〉を、現実に探しだし、長い長い時を隔てて再び会わせるという奇跡のゲームである。そしてある人物、世界でただひとり、ある人にあてた遺言でもあった。みずから脳性麻痺の娘を持った作家が、魂のすべてを注ぎこんで織りあげた気高くも美しい愛のロマン。