内容説明
賭博の中の賭博、『手本引き』の盆茣蓙に美しく妖しい一輪の華を咲かせる女胴師、りん。千のあらくれどもを組み敷いて、炎に包まれながら燦然と美しく立つ観音菩薩の刺青を背に、冷たく妖しく札を読むその姿は『血まみれ観音のおりん』とも『不知火おりん』ともよばれ男たちを幻惑する。自分の血を変えてしまった宿命の夜。りんは『あの刺青』の記憶とともに、もう一つの『荒ぶる魂』を追いかけていた。胴師として十二年ぶりに因縁の肥後熊本、八雲楼の敷居を跨いだりんは、その勝負が彼女の生涯を掛けたものであることを感じる。そしてそこでは、『あの男』との驚くべき再会が待っていたのだった。