内容説明
時は天保の頃。血まみれの船頭らをのせた巨大な死の千石船が、品川沖に漂流してきた。これが、江戸の街につづけざまに起こった奇怪な事件の発端だった。闇夜の汐留川を漂よう小船に置かれ、不気味な絞様に飾られた棺桶。中から出てきた、爪が異様に長い、骨ばった青白い異形の手。それを、橋の上で美人の町娘に言い寄っていて、見てしまった大店の道楽息子は、原因不明の熱病に冒され、世にも哀れな風体に…。裏長屋に住む貧乏侍・鉄太郎と切れ者の岡っ引・仙三のコンビが、妖異な事件に挑む。新シリーズ、時代伝奇ロマン。
目次
とんだりはねたり
玄冶店伝奇
咤祇尼まいり
天保振袖火事
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
紫
3
時代劇版吸血鬼小説の上巻。『吸血鬼ドラキュラ』以来の伝統にのっとりまして、乗員が全滅した船が見つかり、その船から吸血鬼が上陸するという展開があまりにお約束通りで素敵。基本的に江戸市中で起こった怪事件にこうもり鉄太郎と岡っ引きの仙三のコンビが首を突っ込み、吸血鬼(さたん)の手下の甲賀忍者との対決で〆のパターンの繰り返し。どうも山田先生、吸血鬼対侍のチャンバラ活劇というテーマだけを決めておいて先々の展開は考えていなかったらしく、後付けの説明が意味分かんないレベルで苦しいことになっているのであります。星4つ。 2020/09/06
けいちゃっぷ
3
天保の江戸に「ヴァムピール」や死体をも操る忍術遣いが。同心・小森主馬、岡っ引・仙三、昼行灯・鉄太郎は深く事件に関わっていくが。次巻で完結。201ページ2011/02/17
魔魔男爵
2
大江戸ヴァンパイア小説。4つの短編のオムニバスである。ヒロインに思われた美少女が呆気なく死ぬのはさすが正紀。主人公は鉄太郎かと思ったら、主馬が主役張る話もあって、二人主人公かと思ったら、主馬はなんと! 次巻が楽しみである。2012/04/18
狂人29号
1
棺を載せた舟。蘇り。さたん。夜だけ剣が冴える主人公。蝦夷から帰った武士。甲賀忍者。異形者たちが入り乱れた娯楽作品。テンポが速く、描き込みが抑えられ、薄く読みやすい。長所でもあり、短所でもある。次巻に期待。2014/06/05
冬至楼均
1
蝦夷から江戸にやってきた吸血鬼。主に戦っているのは眷属ばかりでご本人は全く姿を見せません。2012/06/30




