出版社内容情報
心に憎しみや恨みや妬みを抱いた者は呪いを使う。
人が病気や怪我をしたり、不幸に見舞われたりするのは、この呪いが原因だ。この世界は人を傷つけようとする力に満ちている。
少年ルヌエはジュージュツを教えるために村を訪れたホンゴ・センシの弟子となり技を学ぶ。
家族を殺され、家を焼かれ、次々と呪いが降りかかるルヌエはホンゴの教えと共に旅立つのだった――。
『近畿地方のある場所について』背筋氏、絶賛!!
「異国の地で伝えられたジュージュツが紡ぐ、絆と呪いーーその狂おしいほどに真っ直ぐで、切実な物語に胸が打たれました」
【目次】
内容説明
心に憎しみや恨みや妬みを抱いた者は呪いを使う。人が病気や怪我をしたり、不幸に見舞われたりするのは、この呪いが原因だ。この世界は人を傷つけようとする力に満ちている。少年ルヌエはジュージュツを教えるために村を訪れたホンゴ・センシの弟子となり技を学ぶ。家族を殺され、家を焼かれ、次々と呪いが降りかかるルヌエはホンゴの教えと共に旅立つのだった―。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
27
アフリカを舞台に、少年ルヌエがジュージュツを教えるために村を訪れたホンゴ・センシの弟子となりその技を学ぶ物語。師オンゴの教えに導かれて成長していく少年ルヌエ。家族を殺され家を焼かれる厳しい状況に直面して、居場所を変えて道場を開き、弟子を集めて柔術を教える姿が描かれていて、ヨーロッパ人の支配が終わっても、今度は部族同士での対立が表面化していく、簡単には終わらない業の深さを感じましたが、そんな状況だからこそ自らの強さをどう使うのか、ルヌエからソソラへとしっかり受け継がれるかけがえのない精神が印象に残りました。2025/11/26
わたー
22
★★★★★面白かった。これは正しく石川博品しか書けない作品だったと思う。白人たちの入植を皮切りに生活が目まぐるしく変化していく時代のアフリカを舞台に、ある少年が自分の大切なものを守るための力として、村の権力者に護身術を教えるために招かれた柔術家に弟子入りすることから始まる闘争と呪いの物語。読めば確かに面白いのにニッチすぎてそもそも手に取られにくい作品というところに目をつぶれば、文句無しに面白い。大切なものを守るために力をつけたのに、逆にその力のせいで別の、もっと大きな悪意とか災い…2025/10/16
ほたる
15
読了した今、内から込み上げてくる熱さにやられている。ジュージュツを通して描かれる教える者と教わる者の絆、そしてそれがどこまでも受け継がれていくこと。それをちょっとアレンジした味付けで描いていくのは流石だと恐れ入る。凄みがある作品。2025/10/02
うさみP
8
それは絆と呪い。呪術に対抗する為の我々の柔術(ジュージュツ)。遠いアフリカの地で受け身の音が響きわたる。大いなる力は様々なモノを引き込む。善い事も悪しき事も、本人が望まない時とかたちで。支配の為に作られた差別と貧困という重いテーマながら、そこに全身を引き込まれる事なく、テーマとして残しつつも負の連鎖からの脱却と聖なる力による精神の開拓に主眼をおく、清涼感のある筆のバランス感覚の絶妙さ。ライト文芸棚にて、なんだか面白そうだと気になって手に取ったのが正解だった。ファミ通文庫扱いなんだ。2025/11/20
METHIE
8
あるアフリカの村に柔術家がやってきて……と物語の始まりはある種のユーモア小説的な始まり方をするが、柔術の素晴らしさと同時にことなる部族の差別や内紛などが起こり主人公が交代しつつも戦っていき、平和として相撲と戦ったりして、ある種の爽やかさで終わる。 ある種伝えられていくという点では呪術も柔術も一緒である。2025/10/17




