出版社内容情報
令和■年、発見された一連の有害情報群。
編纂者は不明。
本情報群は、「右園死児報告」を補完する性質を持ち、
その構成は、怪文書、または報告書から散逸した断片的文書によって成り立っている。
この記録群は、ヒト型右園死児「三田倉九」に関連している。
――「久」とは、「九」の同義文字。
すなわち、「永久」「無限」「天」「皇帝」……
尽きることなき概念を内包する。
【目次】
内容説明
令和■年、発見された一連の有害情報群。編纂者は不明。本情報群は、「右園死児報告」を補完する性質を持ち、その構成は、怪文書、または報告書から散逸した断片的文書によって成り立っている。この記録群は、ヒト型右園死児「三田倉九」に関連している。―「久」とは、「九」の同義文字。すなわち、「永久」「無限」「天」「皇帝」…尽きることなき概念を内包する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
66
前作より飛躍的に良い!報告書の羅列は変わらないが、今回は前日譚的な様相。維新後の廃仏毀釈を任じられていた上司と部下。部下の名は三田倉九、そう、前作で鯨の腹から右園死児化して見つかったあの男。日本を異界化する“右園死児”と遭遇し調査を行う過程で上司を失った彼は、否応なく最前線に立たされる事に。あざとく小狡く冷酷な男が孤独に破滅に立ち向かう物語。利害関係で集めた仲間たちと勝ち目の無い戦いに明け暮れる三田倉の心境の変化が苦しくも切ない。伏線の回収も見事だったし、前作の登場人物たちとの再会も善き。(→続)2025/07/26
yukaring
65
「右園死児報告」の前日譚。怪異の報告や個人の手記からなる文書は右園死児の秘密を探り、戦い続けた内務省の安堂忠正と後継者の三田倉九の凄絶な記録。令和になって発見されたこの文書は果たして本物なのか?右園死児とは?その猿を殺した者は黒い血を吐いて死ぬうつろ猿、降りようとした者が命を落とす餓鬼ノ井戸、全て「右園死児」や「う俗のみや」の刻印が絡む有害案件。そして関わった人々も怪物化して…。要所要所が手記で考察される分、前作よりもわかりやすい構成。記録者のやるせなさや葛藤が報告書から読み取れ、内容も想像しやすかった。2025/10/26
かみぶくろ
35
3.9/5.0 どこか中二病の香りすら漂う荒唐無稽な破滅的世界観が大好きである。相変わらず奇形的な化物呪物怪奇現象のオンパレードで、その昏い想像力に惚れる。前作の前日譚的な位置付けで、前作の重要人物の歴史的奮闘が明かされる。前作のラストに向けての展開は流石に・・と感じたが、本作は人物にフォーカスしたぶんドラマ性も獲得していて、物語としても面白かった。2025/10/16
のりすけ
31
前作を読んでからの方が絶対面白いし、出来れば続けて記憶の残ってる間に読まれるが吉かと。ババァになるとのぅ、読んだしりから記憶が消えるんじゃよ…。哀しいのぅ…。小説ではない形式の小説。前作の登場人物・三田倉九の物語。賛否別れるだろうけど(あ、でも前作読んでない人は最初から手に取らないか…)私は好きです。面白くて一気読みしちゃった。2025/09/27
佐倉
21
明治時代の内務大臣右園死児、右園死児現象の対策を執りながら記録を混乱させた末に右園死児化して鯨に呑まれた三田倉九。前作では諸々の混乱の原因と推察されながらも非常にあっさりとした報告しか残されていなかったキャラを掘り下げていく、いわば右園死児/ゼロ。民間信仰の中にあった右園死児を抑えたり対策する手段を廃仏毀釈の時期に迷信として抹消したために何をしても取り返しのつかない絶望感。封印用生体七号、け異ブまン、汚損聖書といった前作の報告の由来が分かる要素が多数あって読み直すと色々な発見があって楽しい。2025/09/30




