出版社内容情報
令和■年、発見された一連の有害情報群。
編纂者は不明。
本情報群は、「右園死児報告」を補完する性質を持ち、
その構成は、怪文書、または報告書から散逸した断片的文書によって成り立っている。
この記録群は、ヒト型右園死児「三田倉九」に関連している。
――「久」とは、「九」の同義文字。
すなわち、「永久」「無限」「天」「皇帝」……
尽きることなき概念を内包する。
【目次】
内容説明
令和■年、発見された一連の有害情報群。編纂者は不明。本情報群は、「右園死児報告」を補完する性質を持ち、その構成は、怪文書、または報告書から散逸した断片的文書によって成り立っている。この記録群は、ヒト型右園死児「三田倉九」に関連している。―「久」とは、「九」の同義文字。すなわち、「永久」「無限」「天」「皇帝」…尽きることなき概念を内包する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
57
前作より飛躍的に良い!報告書の羅列は変わらないが、今回は前日譚的な様相。維新後の廃仏毀釈を任じられていた上司と部下。部下の名は三田倉九、そう、前作で鯨の腹から右園死児化して見つかったあの男。日本を異界化する“右園死児”と遭遇し調査を行う過程で上司を失った彼は、否応なく最前線に立たされる事に。あざとく小狡く冷酷な男が孤独に破滅に立ち向かう物語。利害関係で集めた仲間たちと勝ち目の無い戦いに明け暮れる三田倉の心境の変化が苦しくも切ない。伏線の回収も見事だったし、前作の登場人物たちとの再会も善き。(→続)2025/07/26
あられ
9
前の本より読みやすく、わかりやすかった。薄っすらと災厄の輪郭がみえ、どう防ぐか、三田倉九の動きがわかる。これでひと区切り? 四角で囲んだ有害信仰物報告のカタカナが読めません。orz。。。小さすぎる。。。←写真撮って拡大しようとしたがぼやけてしまう。。。棚主一郎太、二郎佐、三琴、四郎か四乃、五郎と続く一族のこともおもしろそう。。。2025/07/27
イツキ
7
前作で描かれていない部分、特に三田倉九が関わる右園死児案件がメインの巻。最初は純粋に国を思って動いていたはずの三田倉が自己犠牲に走りきれない臆病さも相まってどんどん取り返しがつかなくなっていく様子が描かれており、物語全体に深みが与えられたように思えます。そして前巻に引き続き簡潔に報告される異常現象の悍ましさが凄いです、淡々としていることでかえって恐怖心が煽られます。よくこの国滅びなかったなとしみじみ思いました。2025/08/10
📖®🍵
6
前回よりもSF感が減って報告書としての完成度が物凄く高まっていた気がする。 報告書形式で読み進められるのが結構好きなのでわくわくしながら読み進めた。 三田倉の人間臭さというか感情の変化を読み取ることが出来て良かった。普通の人間と同じでありながら捻くれて卑屈な部分もあるのが愛おしくすら思えた。 もう一度前作を読もうと思います。 右園死児って何だ。2025/08/12
青味泥シンカ
6
前作『右園死児報告』にて数奇な運命を辿ったことが語られていた三田倉九と、彼が携わった右園死児に関する物語。前日譚として、現代へと至る様々な繋がりが垣間見え、また数奇と呼ぶにはあんまりだった三田倉九の心情が明かされる展開は良かったけれど、そのおかげでせっかくの報告書形式による暗黙の世界観語りが薄れてしまったのは少々残念。補遺であり答え合わせであるのだから、そこはまぁ仕方がないのかも知れないけれど、出来るなら更なる"闇"の拡がりを描いては欲しかった。綺麗についたオチも悪くないが、綺麗過ぎるのも考えものである。2025/08/05