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出版社内容情報
子どもん頃。
うちには母の友人達がしょっちゅう遊びに来とったけど、わたしはたぶん、この人に一番なついていた。
うちに遊びに来る、母と母の彼女の友人達には、女の人が好きな女の人も、男の人が好きな男の人も、男の人が好きな女の人も、どっちのことも好きな人も、どちらでもない恋人がおる人もおったけど。
多聞(たもん)みたいな人はーー。
いつだって一人で、口を開けば多聞にしか見えない友達のことばかり。
妖精、妖怪、ぼうちに魔女。
人間よりも、幽霊やおばけが好きな人。
こんな妙な大人は多聞だけ。
多聞、あのおかしな人だけだった。
★
他の人には見えない、人ならざるものとの会話を愉しむ、妙な大人、“多聞”。
レズビアンの母達と暮らし、誰を愛しても祝福される環境で、誰のことも恋愛として愛することができないと悩む、“内日(うつい)さん”。
そして、内日さんの呼びかけに応え出現したものの、自分の名前を忘れてしまった不思議な仔、“多聞の友達”。
クィアな家庭で育ったアロマンティックの子の、繊細な揺らぎ。
自分のことを、あなたのことを、わかっても、わからなくても、ここにいるという事実を語り合うことがきっとできる、ひと夏の不思議な、大阪の物語。
●コミックビーム 公式X(Twitter)
@COMIC_BEAM
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
半熟タマゴ@コミック
5
前から気になってた作品、ようやく見つかりました。内日さんと同じような悩みを抱えてるので、そういう人がいてもいいんだよと肯定してもらえたような、そんな温かな気持ちになりました。2025/08/24
桐一葉
3
やさしく問いかけてくれる時間を過ごせる漫画。あなたはどう思う?どうしてそう思うの?と絶えず耳を傾けてくれる。今まで自分がしたくないけど仕方なくしてきた記憶の数々が掘り起こされて、ほんまはこうしたかった、ああしたかったと気付く。頑張れそうなことを他者に邪魔されてもあのまま頑張れば良かった、働いてるから見たくないものは視界に入れずに無視して過ごそう、そういった記憶が後悔として浮かび上がってくる。不快さはない。今この年齢になってしまっても分からないことだらけで困るけど、ほんの少し手掛かりが得られた。下巻へ!2025/07/19
こまいぬ
2
Xかなんかで見かけて気になっていたけど。思っていたよりだいぶ話が複雑というか、わかりやすい答えをバーンと出すタイプとか登場人物の全部の背景を描いてしまうエンタメ的なものとも違う。ファンタジー的な要素はありつつ、主人公の苦しさはほんとなんだと思う。自分だったらどう思うかみたいな想像だけで人をみていくことは限界がある。相手が異性だろうと同性だろうと、誰もが必ず恋愛するわけではないなんて、若い頃だったら多分想像できてない。知っていくことで考えることの幅は広がる。2025/09/08
satoshi
1
前置きみたいなのが作者の誠意を感じて良い。個性的なタッチの絵で描かれる、クィアな物語。人ならざるものとの対話は内日にどのような変化をもたらすのか。2025/06/25
Seahorse
0
女性カップルに育てられたが、見えない存在と話してるおかなしな多聞さんといるのが一番心穏やかだったりする主人公。なぜって多聞さんは誰かを好きになる話とかしないから。ヒロインは一緒に暮らす人はいるが、その人と結婚したいかと言うと…、恋愛ではない、恋愛できないタイプ。そんな世間一般、普通と違う感じで、なんか否定されてるような気がしながら生きていたら、やっと、多聞さんが見ていた存在に出会う。う~ん、普通って普通じゃないんだな。2025/09/13