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出版社内容情報
1898年、25歳の若さで亡くなった異端の画家オーブリー・ビアズリー。
『サロメ』の挿画で一躍有名となった彼が、死の間際まで描き続けた絵とは――。
1897年、病が悪化したビアズリーはフランスの療養地で過ごすことになった。
体も心も弱った彼が縋ったのはキリスト教だった。
今まで罪深い絵を描いてきたことを悔い、信仰に身を捧げるようになる。
しかし、因縁の男――オスカー・ワイルドが現れ、
ビアズリーの消えかかっていたグロテスクな欲望が再び燃え上がる。
死を背中に感じながらも、最期まで絵を描き続けたビアズリー。
黒と白が織りなす“欲望”の物語、完結!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
歩月るな
8
「芸術家が抱える欲望とは 命そのものだからだ」感極まる最終巻。愛すべき芸術品。手元に置いておきたい漫画。欲望に生きる、というのがどういう事か、パトロンが居るからって、彼らに奉仕しなければならないわけではない、そういう戦いは目には見えないものかもしれないが、才能は人々に見つけられるものであろうか。神に与えられたものであるならば、人々のために使わなければならないのだろうか。命ある限り、命を使う。生き様が遺るとはこういう事なのだろう。2024/12/09
真霜
3
吐き続けた欲を見届けたのちに、これは「ビアズリー」の物語だったのだと気付きました。光と影、生と死。相反する健康な姉と病弱な弟はたとえ神でさえも、その繋がれた手を断ち切ることは出来ず、彼等は永遠に互いの半身を抱えていたのだと思います。いよいよ今際の時と体を蝕む病に、焦燥感に駆られ命を鋭い刃で削り取ろうとするオーブリーの目の前に現れるのは、狂信による恩恵と狡猾による利益。ようやく形にしたい物を見つけながらも志半ばに斃れたその右手を取って、その美しい全身で連綿と受け継いでいくメーベルの姿が印象的でした。2024/12/08