出版社内容情報
タワマンには3種類の人間が住んでいる。資産家とサラリーマン、そして地権者だ――。
大手銀行の一般職として働く平田さやかは、念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。一人息子である充の過酷な受験戦争、同じマンションの最上階に住む医者一族の高杉家、そして総合職としてエリートコースを歩む同僚やPTAの雑務。種々のストレスから逃れたいと思ったとき、向かったのは親友・マミの元だった。かつては港区で一緒に遊び回り、夢を語り合った二人だったが――。
幸せとはなんなのだろう。
逃げ場所などない東京砂漠を生きる人々の焦燥と葛藤!
※紙書籍版カバー裏には、特別短篇「高杉隆の初恋」を収録(電子版には収録されません)。
※電子書籍版巻末には、特別短篇「目黒奈々子の後悔」を収録。
内容説明
大手銀行の一般職として働く平田さやかは、念願のタワマンに住みながらも日々ストレスが絶えない。一人息子である充の過酷な受験戦争、同じマンションの最上階に住む医者一族の高杉家、そして総合職としてエリートコースを歩む同僚やPTAの雑務。種々のストレスから逃れたいと思ったとき、向かったのは親友・マミの元だった。かつては港区で一緒に遊び回り、夢を語り合った二人だったが―。幸せとはなんなのだろう。逃げ場所などない東京砂漠を生きる人々の焦燥と葛藤!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ミカママ
543
読メ&BOOK☆WALKERさまよりの賞品で購入したうちのひとつ。この系統をタワマン文学というのだそうで。以前読んだ桐野さんの『ハピネス』も好みだったが、こちらは登場人物たちにどことなく余裕があることと、筆者独特のユーモアのおかげで余計に楽しめた。読者はみな(我が身に近い)それぞれの家族に寄り添って、ストーリーを追っていくのではないかな。隆くんの答辞が良かったね。それなりにハッピーエンドかと思いきや、エピローグでグッとリアリティも増して。楽しい読書だった。感謝。2024/04/24
いつでも母さん
172
憂鬱・・焦燥・・煩悶・・第3章までの二家族3人のタイトルに付く言葉たち。分かるよ~と思いつつ、どんよりと私のなけなしの元気玉が吸い取られそうだった。第4章、決断にホッとしたと言うよりも、爽快な気分を得たのは私だけじゃ無いだろう。「よく言った!」当たり前の事なんだけど、幾つになっても親子は難しい。PTA会長・綾子の挨拶と、その息子・隆の答辞も好い。私も心からの拍手を送りたい。それにしても何とも言えない最適な表題にナイスを。2023/08/01
R
169
タワマンに住む人々の悲喜こもごもというか、タワマンというキーワードの下、色々な家族の在り方が見えるような現代劇でした。マウントの取り合いとか、様々な嫌な話がいっぱいなのかと思えば、割と普通のお話で、色々あるようだけど、なんだかんだ出てきた家族は、それなりにみんな幸せなんじゃないかしらと、タイトルの割りに穏やかな内容でした。2023/08/17
モルク
150
湾岸地区のタワーマンションの住人。最上階に住む病院経営の資産家医師高杉家、低層階に住む共稼ぎの銀行員平田家、そして地権者で飲食店の伊地知家。それぞれ同じ小学校に通う同学年の息子がいる。目の前に迫ってくる中学受験…タワーマンションの階、夫の職業、収入、子供の成績によるヒエラルキー。その状況でも十分勝ち組だと思えるが、比べる対象があると更に上を目指してしまう。憧れの存在高杉家の元読モ妻でも様々な葛藤が。その中で屈託なく伸び伸びしている息子たち。最後の卒業式の答辞のあまりの素晴らしさに泣けた。2024/09/03
はにこ
146
タワマンヒエラルキーの中に住む人々の話。仕事、収入、学歴。。様々なことを人と比べ生きていく。それはとても疲れる生活だろうな、息が詰まるだろうなとは思うけど、そんな彼等を笑う気にはなれない。そんな立派なところじゃなくても人は他人と比較して優越感を覚えたり、劣等感を感じたりする。ステータスに憧れたりもする。そんなヒエラルキーデパートで必死に生きる彼等が人らしくて愛おしかった。2023/08/26