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出版社内容情報
拐かされた王女と指のない世話役の男、ふたりの声なき囚われの時間。
平凡な女性とストーカーで変質者の男の10分間。末期癌と宣告された最愛の妻との半年間。
公開即100万PVを記録した『大好きな妻だった』を含む計７篇の作品を収録し
224ページの大ボリュームで、待望の書籍化。
■収録作品
『その時がきたら』
『10分後に警察は来た』
『初夜はつつがなく』
『よかったね』
『楽園』
『悪くはねえけど』
『大好きな妻だった』
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
空のかなた
33
表紙買い。突き抜けた短編の数々。冒頭の「その時がきたら」は幼い王位継承者の王女が誘拐されたお話。男子を産む迄の繋ぎであり、国を治める事等期待されてもいない。とてつもない孤独と自分を肯定することができないみじめさが王女の中に巣くう。監禁された中で、世話役となった罪人の男と王女の中に何かが芽生える。一言も発しない男に「好きだ」と告げても何の反応もない。その理由が明かされるくだりと画の素晴らしさが圧倒的。巻末の筆者による個々の短編への思い入れと解釈を読むことで、新たな視点で再度味わえる。秀逸。2022/04/28
陸抗
27
短編集だけど、どれもぐいぐい心に食い込んでくるような内容だった。王位継承者の王女が浚われ、目隠しをされた中で世話をしてくれた人に恋心を抱く。やっとの思いで紡いだ言葉は伝わらず、最後に明かされる真実になんとも言えない気持ちになった。あの過ごした時間を大切に思っていたのは王女だけ？それとも…。大好きな妻だったは、予想通りだったけどだからこそ辛い。全体的に、心に細かな傷を残すような話だった。2022/05/19
ぐっち
21
独自の世界観、あふれ出す感情、面白い。さらわれて目隠しをされた姫と、世話をする小指を切られた男。余命宣告をされた大好きな妻。皇帝と辺境の姫のつつがない初夜の話が幸せそうで好き。2022/05/14
しましまこ
16
表紙買い、短編集。『初夜はつつがなく』がお気に入り。2022/04/17
緋莢
15
7編収録。表紙の画と、冒頭の「その時が来たら」が即位して間もなく拐われた王女の話から、ファンタジー系の話ばかりかと思いきや、そんな事はありませんでした。新大陸の密林のどこかに膨大な黄金を隠し持っている村があると噂されていて、そこに辿り着いた男2人が見たものは…という「楽園」は、藤子・F・不二雄の短編にありそうだなと感じました。「悪くはねえけど」に登場する人物のセリフ、「…僕が歪んでたら悪いかよ」というセリフが 印象的でした（続く2024/05/14
