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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
HANA
68
澁澤龍彦の原作を読んだ時には、どこか博物学めいた硬質な印象を受けたのだが、本書から受けるイメージはそれとは真逆。どことなく湿気たエロティシズムを感じるのである。それは寝台に横たわる鳥足の女にしても、パラリヤ・パタタ姫にしても、薬子にしても、著者の画から受ける印象がそう感じさせるのかな。共通しているのはどこか親王同様、夢の中を彷徨っているような、読んでいる間中そのような感じに付きまとわれるところか。とあれ独特の持ち味を生かしたこの作品、原作とはまた違い、まさに著者独自の作品に仕上がって居ると感じました。2023/06/01
阿部義彦
21
原作を読んだのは昔なのでぼんやりとしか覚えてませんが、夢を喰う獏やパタリヤ・パタタ姫の事などは、漫画で逆にああそうだったとありありと思い出しましたよ。兎に角澁澤龍彦さんの世界を見事に過不足なく表現している作者は素晴らしいです。実はこの漫画の存在はサブカル雑誌「フリースタイル」の年末特集「このマンガを読め!」で1位を取っていたので知りました。噂にたがわぬ出来栄えで続きが楽しみです。2021/01/24
ぐうぐう
21
例えば「蘭房」に登場する陳家蘭の姿、あるいは「獏園」の夢の展開には、漫画ならではの効果があることを近藤ようこは充分に心得ているのがわかる。ただ、コミカライズを試されている場面もある。「蜜人」の夢の中で再会する空海の振り返った顔の「その顔はすでに生きている人間のものではなく 金泥を塗り玉眼をはめた木像のそれにひとしい、こわばった無表情な顔である」という原作の描写は、それを画にする漫画家にとっては、途方に暮れそうになるような厄介な描写に違いない。(つづく)2020/09/17
りらこ
19
不思議の連続。どこか物哀しい。漠の話が響く。親王は何かにつけて鷹揚で、眠くなって夢をみる。夢がとても重要な役割を果たす。主人公たる親王達に肩入れし過ぎず適度な距離感を持って読めるのは、近藤さんの絵の力かしらね。蜜人とりに出かけた親王、さてどうなるのでしょうね。2023/02/13
Saku
14
マンガで読むとキャラクターがイメージがしやすくて良い。原作でも好きなキャラクターの秋丸がなんとも愛らしい。前巻のジュゴンやアリクイに続き、貘や下半身が鳥の女や犬頭人などの妖しい生き物も登場しエキゾチックな雰囲気を堪能する。 2021/01/23