出版社内容情報
店主の急死により、閉店フェアをすることになった幸本書店。そこに現れたのは、故人の遺言により幸本書店のすべての本を任されたという都会から来た高校生・榎木むすぶ。彼は本の声が聞こえるという。その力で、店を訪れる人々を思い出の本たちと再会させてゆく。いくつもの懐かしい出会いは、やがて亡くなった店主・幸本笑門の死の真相へも繋がってゆく――。“本の味方!”榎木むすぶが繋ぐ本と人のビブリオミステリー。
内容説明
店主の急死により、閉店フェアをすることになった幸本書店。そこに現れたのは、故人の遺言により幸本書店のすべての本を任されたという都会から来た高校生・榎木むすぶ。彼は本の声が聞こえるという。その力で、店を訪れる人々を思い出の本たちと再会させてゆく。いくつもの懐かしい出会いは、やがて亡くなった店主・幸本笑門の死の真相へも繋がってゆく―。“本の味方!”榎本むすぶが繋ぐ本と人のビブリオミステリー。
著者等紹介
野村美月[ノムラミズキ]
福島出身。幼い頃より「物語」を作るのが好きで、作家を目指す。『赤城山卓球場に歌声は響く』で第3回えんため大賞小説部門最優秀賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ポップノア@背番号17
82
読友さんのお勧め。東北の小さな町で営む幸本書店だが、店主·笑門の急死により閉店することに。そこへ閉店フェアを手伝いたいと見ず知らずの少年·むすぶが現れる…。ファンタジーは苦手ですが、優しい気持ちになれる、春の陽だまりのような温かい物語でした。笑門が何の縁も無いむすぶにその後を託した理由とは? 地元のベストセラー作家·田母神港一が犯した罪とは? そして罪悪感に苛む田母神の心の行方は?等、先が気になる要素が多数。でも一番はむすぶの超能力だけどね。本屋さん受難の時代ですが、最期くらいはこうあって欲しいものです。2021/01/25
ぶんこ
57
幸本書店の3代目笑門さんが閉店後に事故死したことで、町で最後の本屋さんが閉店することになりました。残された本の見届け人として現れたのが高校生の榎木むすぶ君。彼には本の声が聞こえるという能力があったので、笑門さんは大好きな本を安心して託せるとおもったのでしょう。閉店フェアに、大切な一冊を手にして本屋さんを訪れる人たちの、個別の特別な思い出。様々な悩みやおそれを癒してくれた本と、ベストセラー作家となった田母神さんの罪と罰。終始一貫して本へのリスペクトがあって、本好きとしては図書館本ばかりの現状に忸怩たる思い。2021/07/05
よっち
49
店主の急死により閉店することになった幸本書店。残り少ない時間で閉店フェアを行い様々な人が訪れる中、故人の遺言で書店の全ての本を任されたという高校生・榎木むすぶが現れるもう一つの物語。少年時代、図鑑の立ち読みを楽しみにしていた獣医、「野菊の墓」で時を超えて再び巡り合った二人、「かいけつゾロリ」に救われた少年、地元出身の作家が抱えていた悔恨、そして店員・水海や店主だった笑門さんの想い。本の声が聞こえるむすぶが、店を訪れる人々を思い出の本たちと再会させてゆくエピソードはどれも印象的でぐっと来るものがありました。2020/06/26
まるぼろ
42
先に『外科室の一途』を読んでからこちらを読みました。円谷水海のバイト先の書店の店長が亡くなり、惜しまれつつも閉店が決まった幸本書店で最後に一週間だけ店を開けることになるが…というお話です。『外科室の一途』と比べて最終話になるまでむすぶの語り部は無く夜長姫に至っては何かしらむすぶと喋っている描写はあるものの台詞一つ出てこないのでむすぶに対しての印象がだいぶ違って見えましたが、それでも笑門さんの死の真相を巡っての事やその笑門さんがどれだけ街の人に愛されていたかと言うのが伝わってきて→2020/09/18
七月せら
38
たくさんの人々に愛され、本と人、人と人のたくさんの出会いや繋がりが詰まった、町の最後の本屋さんの閉店フェア。それぞれの思い出を胸にやって来る人々に、本達の方でも伝えたいことがたくさんあったことでしょう。本の声が聴こえるむすぶがそのひとつひとつを丁寧に拾い上げていくのは、まるで行方不明になりかけていたパズルのピースをあるべき場所へそっとはめるよう。今は亡き店主の切なくなるほど優しい温かな人柄が胸を衝きました。2020/07/13