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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぐうぐう
21
戦場と故郷。そのふたつの場所は、帰還兵にとって切り離されてはいない、地続きの場所としてある。大義の為に人を殺して戦果を挙げ、英雄として故郷に還っても、そこに真の安らぎはない。それは国家にとっても同じだ。仮想敵を創造し、愛国者を育てるシステムは、戦場でも故郷でも機能しているのだから。蛮族ゾードに向けた銃口を、ウルナは故郷において、誰に向けるのか。その答えに、胸が張り裂けそうになる。あの雪の中で起きた出来事を十字架として背負う。ウルナの言葉にならない叫びに打ちのめされる。(つづく)2019/03/17
活字スキー
16
【私は──ウルナ・トロップ・ヨンク。私は愛国者】数え切れないほど多くの死にまみれ、幾度も血と涙を流してきたウルナの物語は最後までこちらの予想を越えるものだった。彼女の最後の戦いは、持てる技を尽くした大殺戮以上に困難で、しかも一生続く過酷なものとなるだろう。それでも彼女は選んだ。果てしない苦難をかき分けて希望へと向かう道、死をもたらすのではなく命を繋ぐ道を。彼女こそ英雄、彼女こそ真の愛国者。2022/08/18
みやしん
15
最悪の結末を迎えた前巻。余りに壮絶な慟哭を胸に収め、軍や女性のプロパガンダにならざるを得ない。旧友達だけに信頼と命を託した選択が哀しくも唯一のけじめの付け方だったのだろうか。閑な郷里に凄惨な血が流れ過ぎたが、反面繋がった血の救いが。2019/03/11
わち ⊱^>ω<^⊰ฅ
6
強く。逞しく。 痛みと幸せ。 女の物語でした。 (張り裂けて、ボロボロな、アナザーなラスト… 個人的に好きですけどね(((^^;))2021/04/22
A.Sakurai
5
最後に思いがけないテーマの展開を見せる.故郷の山河や人々を愛しく思う素朴な感傷はヒトが小さな社会で暮らしていた当時に育まれたものだろう.社会が拡大し,人々を押しつぶす国家というリバイアサンに変転して矛盾が発生する.憎むべき社会は愛しい社会を包含しているのだ.その社会に引鉄を引くべきか,協力するべきか.ウルナはあの妄想を抱くぐらいの国家への憎悪を内に秘めながら愛するものを守るため協力する道を選ぶ.2019/03/15