出版社内容情報
ナチスの心は本当に病んでいたのか? ニュルンベルク裁判に先立ちゲーリングなど最高幹部を診断した米軍医が見た「悪の正体」とは? 戦後70年間埋もれていた記録を発掘した迫真のノンフィクション! 映画化決定
内容説明
ナチスの心は病んでいたのか?ニュルンベルク裁判に先立ちゲーリングらを精神分析した米軍医が見た「悪の正体」とは!戦後70年、埋もれていた記録がいま蘇る!人間の邪悪さの謎を追求する迫真のノンフィクション!ミネソタ書籍賞受賞作!!
目次
1 家
2 モンドルフ=レ=バン
3 精神科医
4 廃墟の中で
5 インクブロット
6 侵入者
7 裁判所
8 ナチ気質
9 青酸カリ
10 死後
著者等紹介
エル=ハイ,ジャック[エルハイ,ジャック] [El‐Hai,Jack]
ロサンゼルス生まれ。カールトン・カレッジ(英語学)、ベニントン・カレッジ(創作)で修士号取得。医療、科学、歴史を得意分野として、数多くの雑誌に寄稿している。著書も数作あり、『ロボトミスト』(武田ランダムハウスジャパン)は医学ジャーナリスト協会最優秀作品賞を受賞し、米国公共放送PBSの“アメリカン・エクスペリエンス”のエピソードの原作となった。元米国作家・ジャーナリスト協会会長
高里ひろ[タカサトヒロ]
上智大学卒業。翻訳者
桑名真弓[クワナマユミ]
大妻女子大学短期大学部英語科卒業。翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
marumo
23
ノンフィクション。ナチ的気質はあるのか?が出発点。で、ないわけです。「ナチ高官は優れたビジネスマンのよう」で「そのビジネスが世界帝国を作ることだった」と。ゲーリングと分析官との会話、非アーリア人を劣っていると思うかに対し「そんな戯言は信じていない」、600万の人を死なせたという指摘に「優れたプロパガンダだったな」。ひたすら酷薄で倫理観に欠けているが、異常者ではないのが感じられる。一方でゲーリングが妻子とは深い愛情で繋がっていることが人間の底知れなさを思わせる。大変ストレスフルな読書になった。2015/09/27
井戸端アンジェリか
17
小説だと思って買ったらノンフィクションでちょっと驚いた。 ナチスの高官ゲーリングと精神分析官ケリーはとても似ている。生まれた国が逆だったら立場も逆になっていただろうな。って事で、誰にでもありえる、に賛成。 キーワードがロールシャッハ・テストでしょ、各章の扉にある9番のイラストを骨盤みたいだねぇなんて気楽に流し見していたのに途中の写真をジックリ見つめているうちあらビックリ、肩幅が広くウエストの締まった男の悲しい背中に見えてきてしまったんですが私の精神状態は大丈夫なんでしょうか。2015/04/28
ののまる
16
ナチ高官を精神分析した結果、若干の偏屈さ、倫理観の欠如はあるにしても通常の人々となんら変わりなかったというのは、ナチス関連の研究が多角的で氾濫ぎみでもある現代では素直に頷けるけれども、当時はあまりにもホロコーストの事実がショッキングで受け入れられなかったようだ。家系的に精神病的要素を持つ精神分析医ケリーが、ナチ高官たちと長く過ごした結果、自分の悪の部分などと対峙してしまうことで飲み込まれていく過程が、人ごとでないようで怖かったな。映画化決定だそうです。2015/12/29
れい
11
【図書館】著者はジャーナリストであり、おそらく資料的なものはケリーの残した記録だけであったろうに、ここまで物語として完成させているあたり、表現するにあたり足りないピースは彼が補完していると思われ、主観も大いに入っていると思われる。「ナチと我々を分かつ部分は、良心、道徳の欠如という点においてのみで、彼らは精神異常をきたしおらず、ナチ気質というものは存在しなかった」というところがケリーの主張である。心理官のギルバートは当時の空気を読むがごとく「彼らは精神異常であった」とする。どちらが正しいのであろうか。2015/08/21
ケニオミ
11
確か日経の書評欄で紹介され、興味をひかれたので読むことにしたのですが、あまり面白くなく、途中から読み進むのが苦になりました。ナチス戦犯を裁くために設けられたニュルンベルク裁判。その裁判に先立ち、「彼らを大量殺人と駆り立てたのは何なのか?」、「彼らは市井の人達と異なるのか?」を分析することにした精神科医ケリー。ケリーの判断は「ナチ戦犯は一般の人々とは同じであり、誰でも少し誤れば、大量殺人を犯すことになる」であった。本書はゲーリングを中心とするナチ戦犯の話のみならず、屈折したケリーについての話でもある。2015/06/16