内容説明
太古の因習の痕跡をとどめる巨石と最先端のメガ・サーバー施設を備えた電波塔。古の遺物と現代の叡智という対照的な2つの建造物が丘の上で奇妙に共存する“千葉県夜刀浦市”には、さまざまな都市伝説が存在した―。電磁波が引き起こす神経症、頭のない幽霊の出現、死んでいない猟奇殺人鬼etc。寺の鐘を思わせる音をたて、メガ・サーバーが運転を始めたとき、異次元の扉は開かれ、町に阿鼻叫喚の一夜が訪れた。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
眠る山猫屋
15
序文の「イヴ・タンギーの家には夜しかはいれない」からして、なんか嫌じゃないですか?ググッてしまいましたよ。 異形コレクションなんかで馴染みはあったけれど、夜刀浦は木更津辺りをイメージしているのかなぁ、もっと茨城よりかと思ってました。独特なアルファベット遣い、頭が痛くなるような擬音、何もかもが奈落に向けて収斂していくようで、軟弱な大学教授と編集者、おまけに女子高生(もうひとりいるけれど・笑)で立ち向かえる事態じゃない。それでも深淵を覗き込もうとするのは・・・。逆宇宙レイザースの資格ありです。2015/10/24
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8
**クトゥルー**巨大な石造遺跡と最先端のメガ・サーバー施設、対照的な2つの建造物が丘の上で奇妙に共存する千葉県夜刀浦市には、さまざまな都市伝説が存在する。寺の鐘を思わせる音をたて、メガ・サーバーが運転を始めた時、戦慄の夜は静かに幕を開ける・・・――今回は著者のウンチクが少ない様な気もしましたが、相変わらずの筆腕に驚愕!安定感のある怖さが氏の魅力です。クトゥルー作品らしくラストの救われなさっ振りも素晴らしい!少し王道過ぎる展開は、今作からクトゥルーを読み始めた読者を意識したのでしょう。著者の今後に期待!2012/10/24
HANA
6
最近はもう絶滅危惧種に近いクトゥルーもの。HPL作品未読の人置いてけぼりな姿勢が素晴らしい。猟奇殺人+儀式+クトゥルーと好みのコンボで責め立てられて、なかなかに満足でした。欲を言えば主役級があっさりと死にすぎるような気がする。もう少し引っ張ればもっと怖くなっただろうに。あと敵さんがなかなかショボかったけど、邪神じゃないしこんなものかな。2011/03/07
KOO
4
謎の巨石。通信会社のメガ・サーバー施設。連続殺人犯斎彌皇。様々な都市伝説が語られる千葉県夜刀浦市。 地域情報サイトを運営する矢口はそれらの都市伝説を調査し始める。 久々に読んだクトゥルーもの。科学技術、宗教儀式、連続殺人鬼と、興味を引く内容が盛りだくさんで で十分に楽しめた。もう少しそれらの設定を生かせたような気がするのが残念。 メガ・サーバ施設の試験運転の合図の鐘の音を想像すると不気味な気持ちになる。2011/05/23
zazo嶋
4
作者自身がつい今年の1月に出たクトゥルー神話全書の監訳をされているんですね。それもあって今作はクトゥルーに都市伝説をミックスさせたような、破滅的なパニックホラー作品になっています。基本的には新しいアイコンではないですが、日常と切り離せないという部分でやはり携帯電話というツールを介したホラーは怖いもんですね。今作のオビコメントにはなんと魔夜峰央氏のコメントが!ほぼその時点でそく買いしてしまいました。そこに書かれてるようにとにかく怖い...という程実は怖くはなかったのですが、こういったホラーを読む事は少ないの2011/02/10