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内容説明
恐怖の「任意同行」、「虚偽自白」の強要、「無実の叫び」の封殺・無視、「DNA再鑑定」の抹殺―。冤罪被害者と弁護人が明かす、訊問と裁判の恐るべき実態。
目次
第1章 私はなぜ、虚偽の自白に追い込まれたのか
第2章 「足利事件」とはどのような事件だったのか
第3章 私はやっていない!―獄中から家族に宛てた手紙
第4章 弁護人、検察官、裁判官はなぜ無実を見抜けなかったのか
第5章 DNA再鑑定までの長い道のり
第6章 釈放後の想い―「私の一七年半を返してほしい!」
第7章 裁判所は真実を闇に葬るつもりなのか
著者等紹介
菅家利和[スガヤトシカズ]
「足利事件」冤罪被害者。1991年、栃木県足利市で幼女が殺害された事件で逮捕。公判で無実を訴え続けるも、2000年に無期懲役が確定し、収監。09年6月4日、DNA再鑑定の結果、無罪が明らかになり、逮捕後17年半ぶりに釈放された
佐藤博史[サトウヒロシ]
弁護士。早稲田大学客員教授。1948年、島根県に生まれる。71年、東京大学法学部卒業。74年、弁護士登録。2004年、東京大学法科大学院客員教授。二審より、足利事件の弁護にあたり、菅家氏の無実を主張し続けてきた。現在も、足利事件の真実を明らかにすべく、検察・裁判所と闘い続けている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
lonesome
34
正義って何だろうと考えてしまう。でっち上げ捏造改竄までしてDNA型鑑定の価値を世間に認めさせるために過ちを認めず菅家さんを犯人に仕立て上げ真犯人を野放しにする。この事件に関わった人たちの中にどれだけ私は正しいことをしたと胸を張れる人がいるだろうか。菅家さんの時間を奪っただけでなく、被害者の子供たちの家族や真実のために必死に職務をまっとうした人たちの思いまで踏みにじったことを考えたことはあるのだろうか。もしも正しいことをしようとして許されなければそれもまたつらいことだと思う。2014/12/12
takizawa
6
タイトルにある「訊問の罠」とは,戦前の刑事訴訟法では被疑者・被告人は「主体」ではなく「対象」として訊問されたことに由来する。菅家さんは,警察官・検察官だけではなく,弁護人や裁判官からも「訊問」の対象とされ,「罠」に嵌り,長い間そこから抜け出すことができなかった(あとがきより)。ロー生としては,刑事裁判の実際を掴むための副読本としても読める。特に「!」となったのは,公判期日における供述には信用性が認められないが,警察官に対する供述調書には信用性があると判断しているあたり(p.106前後)。2009/12/04
boyaki
2
星3つ。菅家さんの自白は非論理的で、秘密の暴露もないのにも関わらず、不正確なDNA鑑定を盲目的に信じるあまり、警察、検察官、裁判官の全てが真実を見誤りました。更に恐ろしいのは、なぜ見誤ったかを明らかにせず、真実を闇に葬ろうとする権力の存在であると感じました。2010/06/21
羽景
2
足利事件… テレビの報道などで冤罪事件だということを知らない人はいないと思うが、その詳細はよくは知らないというのが事実なのではないだろうか。無罪を信じて闘ってきた弁護士によるこの新書は、ことの成り行き、残された課題を明確にするなど一気に読ませる力がある。ぜひ、一度読んでおきたい本だと思う。2010/05/04
nagoyan
2
優。国民必読の書。専門家の責任。科警研という科学捜査の大本山、著名な犯罪精神医学者、弁護士、検察官、裁判官。権威(それは「科学」であったり、上級権力であったり)に弱い法曹の官僚的保身。最後にはDNA再鑑定によって無罪が完膚なきまでに証明されたが、それ以前に弁護士、検察官、裁判官が「常識」を働かせればおき得ない冤罪だったような感想を抱く。特に第7章は現在進行形の問題。注視したい。2010/01/03
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- 時の剣 講談社文庫