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内容説明
売春、覚醒剤、恐喝、集団リンチ…。様々な罪を犯した少女たちが、更生を目指し生活する女子少年院。法務教官として12年間、少女たちの矯正教育に携わった著者が綴る、現場でしか知り得なかった少女たちの叫びとメッセージ。
目次
第1章 少年院送致(引き取り;護送車の中 ほか)
第2章 私が出会った少女たち(こんな素直な子が?―大内香澄(十五歳)
あの子、刑務所に行くよ―三河あい子(十九歳) ほか)
第3章 しょく罪教育と立ち直り(しょく罪教育の難しさ;被害者への謝罪 ほか)
第4章 生まれ変わる力(自己回復力;安心できる居場所 ほか)
第5章 少年院の限界と課題(立ち直りにおける限界;社会復帰への不安 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ゆいまある
58
女子少年院で長年法務官を務めた筆者のルポ。悲惨な子が沢山出てくる。15歳でシャブ漬けで暴力団に売春させられてる子とか、まさに「保護」。彼女たちは誰もができる当たり前の事が普通にできない。虐待被害者が多く、家庭には居場所がなく、頼れるのがヤクザだけ。面会に来る親も平気で罵声を浴びせたりする。よく聞くと親もまた虐待被害者で、子供の愛し方が分からないとか、どんだけ闇深いんだ。そんな中、SSTやサイコドラマなど精神科リハビリテーションの手法で贖罪教育が進む。そこらの精神病院よりも子供の心に寄り添ってるね。少年院。2019/04/14
matfalcon
38
おそろしい表記を抜粋。「退院した少年は、それを贖罪と受け止める。」罪に向き合わせる命題への絶望。2018/04/19
リキヨシオ
14
爪楊枝少年のニュースで彼の更生されてなさが気になって読んだ…う~ん、思うのは仕組みの問題よりも増える入院少年に法務教官の数が追い付いてないから更生させられなかったんだなという印象。この本のデータは随分前だけど、刑務所に比べると再入院は1割と案外低い…しかし犯罪は社会を映す鏡であるとあるが、少年犯罪の裏には親の教育の不徹底があり、必然的に非常識な世界に入ってしまい非行に走る…親の不教育から産まれた被害者だという一面がある。実名化や厳罰化は安易な論で、その非常識な世界から立ち直らせる贖罪の為の教育が大切。2015/02/09
lily
4
法務教官の著者が接した罪を犯した少女とのルポ。やはりというか、ほとんどが家庭環境が複雑な状態に置かれている。様々な虐待の中で規範意識が薄れ、覚せい剤や窃盗に走る。環境がどうあれ、どんな罪であっても、罪と向き合う努力が欠かせない。「崖っぷちに立たせることになるが、決して崖から落ちないように見守る」ために少年と接する姿に頭が下がる。ところで、女性でも「少年」というのは違和感があったが、冷静に考えれば年が少ないから少年であって、「少男」というのが正しいか。。と、ジェンダー論的に考えてしまった。2016/02/26
THE WATERY
4
人が育つことにかかる時間の重み。それに比例する絆の強さ。人を育てる(育てなおす)ことの重さを知れた一冊だった。2010/02/17