内容説明
「忍術を志す者は、毛頭も私欲のために忍ぶことなく、また無道の君主のために謀ることはしてはならない―」。今日では、奇術や卓越した身体能力で注目されることの多い忍者だが、根幹となる精神性がなければ見せ物と変わらなくなってしまう。忍術を「道」に高めるために必須な精神とはいったい何だったのか。『万川集海』ほか、貴重な忍術書を具体的に読み解き、誰も知らなかった忍者が忍者たる核心に迫る初めての書。
目次
第1章 「忍び」の定義(忍術の起源;「忍」の意味 ほか)
第2章 孫子の兵法と忍術(『孫子』のもつ重要性;日本における『孫子』の受容 ほか)
第3章 「正心」とは(「正心」という語;忍術書の「正心」 ほか)
第4章 忍びの立場と心得(主君と忍び;陽忍と陰忍 ほか)
著者等紹介
山田雄司[ヤマダユウジ]
1967年、静岡県生まれ。京都大学文学部史学科卒業。亀岡市史編さん室を経て、筑波大学大学院博士課程歴史・人類学研究科史学専攻(日本文化研究学際カリキュラム)修了。博士(学術)。現在、三重大学人文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ニッポニテスは中州へ泳ぐ
2
☆=3/5 忍術書は『孫子』の兵法の系譜にあるんだなぁ。忍術書はいかにして個々の体術を身につけるかでなく、如何にそれらの技能を体系化して「諜報活動」に動員するか、という点にフォーカスした内容を持つ。 敵将から寝返りを唆されても拒否できるだけの精神力も当然求められ、この「精神的修養」という側面が求道的な方向へ展開し「忍道」とも称されるようになった。 プロとしての職業倫理を洗練させていく「○○道」という職業観は『ゴルゴ13』なんかにも受け継がれ伏流しているテーマのような気がする。2021/02/25
もりぞう
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「忍者」という存在の重要さを感じた。歴史を陰から動かしている存在でもあり、歴史ドラマを見る上でも、今後は忍者に一目置くことになりそうだ。「忍者」を使う側にもその力量が求められることや、「心に忍びこむ」という技術等、奥が深いなあと思った。「忍者」に憧れるなあ。2020/06/01
読書忍
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忍術書にみる精神性についてまとめた本。忍者が何を大事にして生きてきたのかが垣間見えて勉強になります。一部ですが貴重な忍術書の訳もあっておもしろい。2019/05/24