角川選書
岩佐又兵衛風絵巻の謎を解く

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  • サイズ B6判/ページ数 375p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784047036437
  • NDC分類 721.2
  • Cコード C0321

出版社内容情報

又兵衛風絵巻群は、ありきたりな仇討譚・復讐譚を描いたものではなかった! 美術史家たちの評価が最も高い『山中常盤物語』。豪奢で過剰な表現の『上(浄)瑠璃物語』。最初に制作された『堀江物語』。注文主の松平忠直はなぜ、「乳母」と彼女に育てられる主人の子や、「傅」一族同士の対立・抗争の物語を選んで絵巻を描かせたのか。絵画表現と詞書を丁寧に読み解き、3つの絵巻から浮かび上がる、知られざる近世政治史に迫る。

内容説明

又兵衛風絵巻群は、ありきたりな仇討譚・復讐譚を描いたものではなかった!美術史家たちの評価が最も高い『山中常盤物語』。豪奢で過剰な表現の『上(浄)瑠璃物語』。最初に制作された『堀江物語』。注文主の松平忠直はなぜ、「乳母」と彼女に育てられる主人の子や、「傳」一族同士の対立・抗争の物語を選んで絵巻を描かせたのか。絵画表現と詞書を丁寧に読み解き、3つの絵巻から浮かび上がる、知られざる近世政治史に迫る。

目次

プロローグ 又兵衛風絵巻とは何か
1章 又兵衛風絵巻群の料紙は「特注品」―「鳥の子の間似合紙」
2章 母の縁と「めのと」の愛―『山中常盤』
3章 「養君」浄瑠璃姫と「めのと」の冷泉―『上瑠璃』
4章 「めのと」とその一族の物語―『堀江1』・『堀江2』(1)
5章 六条の「めのと」と磐瀬太郎の物語―『堀江1』・『堀江2』(2)
エピローグ 近世初期政治史における「乳母」

著者等紹介

黒田日出男[クロダヒデオ]
1943年生まれ。東京大学名誉教授。文学博士。専門は日本中世・近世史、絵画史料論・歴史図像学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

六点

38
「謎を解く」と言うよりも、「又兵衛風絵巻物に見る、乳母と乳母子」と題した方が良いと思われる。前著『岩佐又兵衛と松平忠直』と併せて読むべき本である。享受者であり、パトロンである権力者が、絵師に求めたものを読み解くと言うのは、本来美術史家が行うべき営為であるが、「山中常盤物語」の常盤御前殺害シーンが、美術史家の性癖開陳大会になり、『神護寺三像』問題では客観的且つ説得力のある、反論を提示できていない界隈であるので、期待はしていない。ただ、絵画史料論好きとしては、著者が諦めた二著作が読めないことが残念である。2021/10/13

はちめ

7
残念な一冊。一応登録するが途中からほとんど読んでない。理由は、厚い理由は意味のない原文の引用やあらすじの紹介が延々と続くこと、図版が白黒で小さく見えないこと、自説の乳母に関するものは単なる仮設でありこの事についての論証は単なる想定であり論証になっていないこと、辻惟雄に対する反発心のみが目につくこと、絵に対する感性という点において共感できないことなど。もっとも、冒頭出てくる古代における女性の下着の呼び名に関する実証的な言及は評価できると思います。☆★2020/06/08

Wataru Hoshii

5
「岩佐又兵衛と松平忠直」の続編。前著では又兵衛風絵巻群の内容における松平忠直の積極的な関与が論じられたが、本作では絵巻の読解によって、美術史研究では積極的に言及されてこなかった「めのと」(乳母・傳)の存在がクロースアップされる。ただ「めのと」の手厚い描写と、松平忠直の発注意図の関係については、本書の議論は少し弱い。むしろ、この読解をきっかけに、これまでの近世政治史研究では重視されてこなかった「めのと」の政治的な重要性への注目を促すことが本書の意図だろう。前著と合わせて読むことで、黒田さんの意図が伝わる。2021/04/27

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