内容説明
言葉に「方言」があるように、漢字にも「地域漢字」や「地域音訓」が存在する。本書では、漢字学、日本語学両方の視点で、中国生まれの漢字が、日本の風土とどのようにつながってきたかを、多くの実例で解説、紹介。それぞれの土地に住む人々が独自の自然、習俗や言葉に合わせて工夫を加え、育んだ個性豊かな漢字は、地域の文化や歴史を知る手がかりともなる。寸暇を惜しみ撮りためた、地域色豊かな写真も多数掲載。
目次
第1章 漢字と風土―漢字の使用地域とそこに暮らす人々
第2章 北海道・東北の漢字から
第3章 関東の漢字から
第4章 中部の漢字から
第5章 近畿の漢字から
第6章 中国・四国の漢字から
第7章 九州・沖縄の漢字から
第8章 方言漢字のこれから
著者等紹介
笹原宏之[ササハラヒロユキ]
1965年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部で中国語学を専攻、同大学院では日本語学を専攻。博士(文学)。早稲田大学社会科学総合学術院教授。経済産業省の「JIS漢字」、法務省法制審議会の「人名用漢字」、文部科学省文化審議会の「常用漢字」の改正にも携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
41
著者が全国各地に出かけて、その地にしかない漢字・国字を、実際に見聞・採集していく探求の記録。論文調の本とはちがって、暮らしの中に生きる文字のありさま・実相が伝わってくる。方言と同じく、伝統的に使われてきた文字も、消滅の危機にさらされているというのが、かなり心配。「方言漢字」は、特徴のある文化であり、方言と同じレベルで保存・記録の必要があるのでは?2017/10/24
いぼいのしし
29
初めて見るような漢字も、方言漢字だとだと思っていなかった漢字もあった。やっぱり地名の読みがいちばん難しい。2023/10/13
冬木楼 fuyukirou
12
読友さんのレビューを見て、漢字に方言があるの?と思い手にとった。まず、漢字の地域差の例をあげ、その後日本各地の独特の漢字地名の現地調査(レポート?)の体裁。日本語フィールドワーク兼旅エッセイでした。地名と名字は関連があり特定地域に特定の姓が集中するのはわかるけれど、えっ、それって和製漢字なんですか、しかもその地域だけの!という例がぞろぞろ出て部外者には読めません。JIS標準化は必要だと思いますが、反面、JISに入らなかった文字は消えてしまうとのこと。地域の表現を文化として尊重するのも大事だと気づかされた。2021/04/26
のの
3
地名に「方言漢字」が残っていたが、この先なくなっていくのだなぁ。後の砦は苗字だけど、正直異体字は扱いが大変… 残ることの面白さと、pcの普及と、その扱い兼ね合いか2018/10/15
koji
3
結構惹きこまれました。読んでのお楽しみですが、表紙の字だけ解説しておきます。10語あります。鰰(はたはた)<秋田名産の魚>、にんべんに西、国は「ほとけ」(青森の地名)、山へんのオレンジは「おとな」、うかんむりにRは寮の略字、その右の青字は那覇のは(那覇で見かけた地域字)、代に土はぬた、口に老は「ろう」、さんずいに写は新潟の「がた」の略字、その右は「うつぼ」、きへんに入は「いり」。変換して更新すると字が消えますので、まだるっこしくなりました。その他、「谷」は「や」か「たに」か東西で分かれる等情報満載です。2013/04/30