出版社内容情報
『とはずがたり』という作品は、長い間、誤解されてきたのではないだろうか。中世の宮廷女房、二条が自らの愛の遍歴と追放後の漂泊の旅の記録を書き残したわけを問い直す。軍記文学研究の第一人者が挑む新たな試み。
内容説明
『とはずがたり』は、後深草天皇の御所で育った作者・二条が自らの愛の遍歴と、尼となって東国・西国を旅した様子を綴った自叙伝だ。宮廷内の複雑な男女関係を披瀝したためか、昭和25年に一般公開されるまで、宮内庁に秘蔵されていた。二条はなぜ自分の過去を書き残したのか?読者を作品の中に引き込む劇的構成と、繰り返される言葉の効果を明らかにしながら、謎に包まれた『とはずがたり』の真相に迫る。
目次
序 自伝を読む行為の原点―誤解の始まり
第1章 執筆の動機―今、ここにありて
第2章 表現への執着―見ぬことも書く才能
第3章 制御できぬ心の自覚―過去への内省
第4章 異性への懐疑、あるいは怒り―聖と俗の交錯
第5章 旅修行を記す意味―心の安寧を求めて
著者等紹介
日下力[クサカツトム]
1945年、新潟県佐渡生まれ。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。博士(文学)。専攻は軍記物語を中心とした中世文学。現在、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
24
「とはずがたり」の二条ロスで手に取った。従来の作品論は男女の事実関係にばかり拘泥している、「これでは二条が浮かばれない」との思いに駆られての著だという。好感。◇まず、「とはずがたり」を二条が記した目的と、その想定読者を作品に即し明快に設定。宿願を叶えるための人間関係構築、そのちゃっかり度合いは二条の作内での自分のキャラ付けとあまりに合ってて納得。チョロインかつあっけらかんと計算ずく、全くいいキャラだわ。◇タイトルはこの本で語られる二条とはなんか違う。二条は言葉にできないものを書け てると著者も言うのに。2019/12/25
武蔵野大学読書部
1
卒論用に再読。通説と違う部分にいまいち納得がいかない。(好)2016/11/22
石ころ
1
卒論のために再々読。納得できないところがそこそこあることに気づく。2016/11/22
石ころ
1
卒論用に再読。2016/08/31
武蔵野大学読書部
0
『とはずがたり』の世界を通説から少し離れて解説。(好)2016/08/31