内容説明
若き日の織田信長は伝統的な室町幕府体制に理解を示していた。その彼がなぜ天下人をめざしたのか。大量殺戮戦を可能とした火縄銃・大砲による軍事革命、キリスト教の浸透、基軸通貨だった中国銭の信用不安。戦国時代末期の島国日本を襲った未曾有の危機に、信長は卓抜した合理思想・実力主義で改革を断行していく―。日本史上類を見ない大変革を図った「安土幕府」の実態に、良質な史料と最新の発掘成果から徹底的に迫る。
目次
改革者の正体
第1部 軍事革命と海洋国家(境界から生まれた新時代;環伊勢海政権の時代)
第2部 預治思想による天下統一(東アジア世界の「安土幕府」;革命前夜)
第3部 軍事大国から官僚国家へ(政権交代;偃武の思想)
新たな時代像を求めて
著者等紹介
藤田達生[フジタタツオ]
1958年、愛媛県生まれ。1987年、神戸大学大学院博士課程修了、学術博士(神戸大学)。同年、神戸大学大学院助手。現在は三重大学教育学部教授、三重大学歴史都市研究センター長。専攻は日本中世史・近世史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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mitei
282
タイトルの通り信長について書かれた一冊。やはり信長は凄いなと思った。日本史でたった一人改革者を選ぶとしたら信長になると思う。こんな人を憧れても、現代に出てくるのを期待するのも違うような気がするが、信長が今の世の中を見渡してみたらどう思うのか気になる。2015/04/12
Ryuji
6
★★★★☆織田信長がどのような国家感をもって天下統一を目指していったかを解説した本。安土幕府(仮称)として事実上日本を統治していたという部分はとても興味深く読めた。それまでの体制を否定して、強力な中央集権体制を敷こうとしていたというのは私もそう思う。また中国の中央集権体制に影響を受けていたというのも頷ける。もっと掘り下げて欲しかったのは、信長を中心とした中央集権体制とした場合、最終的に朝廷(天皇)をどのようにしようと考えていたのか?著者の推論でも構わないので書いて欲しかった。2015/06/01
麒麟
4
戦国時代に興味のある人なら、素直に面白いと思えるのではないか。 信長以外の戦国大名も天下統一に向かっていなかったというのは、筆者の言うとおりだと思われる。そして、信長の革命児たる所以は、彼の考える形での天下統一というビジョンを世に知らしめたことにあるのであろう。 本能寺の変をそれまでの謀反の系譜に置くことについても、それなりに納得感を得られた。2012/02/11
Akitoshi Maekawa
3
たまには歴史考察でも。幕府=征夷大将軍ではなく、1575年の右近衛大将任官が制度的前提であり、よって鞆幕府と安土幕府の両立した時代があったのだとする論考。自身で原典に当たっているわけではないので適当な事はいわれへんけど、本書の主張を是とすると、大義のある野心って力強いなと思った。圧倒的な貨幣の備蓄による傭兵の整備とか、それまでの日本の軍隊の思想ではなかったし、天から直接統治を預かっていると言う思想は中国のものにも近いと感じた。「中途採用」の光秀・秀吉の抜擢で覇権を握ったって箇所が妙に響いたけど。2015/03/08
しゅんのすけ
3
信長に権力が移行する転換期には「鞆幕府」(足利義昭の亡命幕府)と「安土幕府」が並列していたという説明を行っているが、非常に納得がいった。2014/06/01
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