内容説明
歌舞伎鑑賞に必要なのは知識ではない。学ばなければならないことがあるとすれば、出雲のお国以来続いている感覚の源泉だけだ。この魅力の源泉「官能のしたたり」は、役者のなかにも、音楽のなかにも、小さな道具のなかにも隠れている。「助六」(「助六由縁江戸桜」)、「忠臣蔵」(「仮名手本忠臣蔵」)、「寺子屋」(「菅原伝授手習鑑」)、「熊谷陣屋」(「一谷嫩軍記」)など40余の演目を中心に、歌舞伎ならではの演出や見どころ、役者の魅力を妙趣に富む文章で紹介する、至上の歌舞伎鑑賞案内。
目次
「対面」の秘密 寿曾我対面
「暫」―隈取りの美しさ 暫
「勧進帳」―その魅力 勧進帳
廓の夜更け―「助六」の星 助六由縁江戸桜
別火物忌―菅丞相 菅原伝授手習鑑
荒事のたのしさ―「車引」 菅原伝授手習鑑
桜の肩入れ―「賀の祝」 菅原伝授手習鑑
ハラと性根―「寺子屋」の松王丸 菅原伝授手習鑑
時代と世話―「鮓屋」 義経千本桜
けれんと涙―狐忠信 義経千本桜〔ほか〕
著者等紹介
渡辺保[ワタナベタモツ]
1936年、東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業後、東宝演劇部企画室を経て、演劇評論家。『女形の運命』で芸術選奨文部大臣新人賞、『忠臣蔵』で平林たい子文学賞、また同書と『俳優の運命』で河竹賞、『娘道成寺』で読売文学賞、『四代目市川団十郎』で芸術選奨文部大臣賞、『黙阿弥の明治維新』で読売文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ぶんこ
44
歌舞伎好きですが詳しくなかったので読んでみました。 我慢して途中まで読みましたが、私には合わなかったようです。 特に最初の助六で、一度も観ていないからこそ楽しみにしていたのですが、すぐにも観たくなるといったワクワク感は感じられませんでした。 最後まで読んでいないので、これ以上の感想が書けません。2016/01/08
脳疣沼
2
初心者は歌舞伎のどこをどう面白がれば良いのか、が知りたくて読んだが、いまいちだった。2015/12/14
お抹茶
1
役のおもしろさ,名優のうまさを記す。隈取りは現代人の顔にはのりにくいが,二代目松緑の梅王丸では隈取りが松緑の顔そのものとして生きていた。狐忠信では,狐が義経の人間関係以上に人間の理想を実現していたことを義経が察する「涙」も必要。歌右衛門最後の「道成寺」くどきでは,老優の影が現れ,二重写しの果てに,忽然と一人の美女だけが桜の下で舞い続けた。八重垣姫の優美さや濡れ衣の悲しさは朧に霞む障子一枚で香気で表す。世話物のいのちはリアル過ぎない「それらしさ」。歌右衛門と梅幸を特に褒め,当世では仁左衛門と吉右衛門を推す。2019/01/18
ブルーローズ
1
14年4月3日。歌舞伎にはいろいろ約束事があり、それを知らなくてもそりゃ楽しめるけど、知っていたほうがもっと楽しめるし。その知識付けにはうってつけの本。読んでいるうちに見たくなる演目もまた、出てきちゃった。2014/07/01
みつひめ
1
最近見た演目についての記述に「え、見落とした!」と思うこと、しばしば(汗 知ってるつもりでも、まだまだしらないこと、気づいてないことがいっぱいあるなぁ、ということを再確認。折にふれて読みなおします。2010/01/26