内容説明
画家、建築家、彫刻家、舞台美術家、音楽家などの顔をもち、後世、神格化されて「万能の天才」の名をほしいままにしてきたレオナルド。自らは画家を称したこのルネサンスの巨人は、しかし、いっさいフレスコ画を描かず、一方で、完成された作品の数に比して膨大な素描・スケッチの類を遺した。さまざまな業績・画業に通底する表現技術としての素描、それを駆使して生きた、「イメージ・クリエーター」としての人間レオナルドを描き出す。
目次
序章 神格化されたレオナルド
第1章 フレスコ画を描かない画家
第2章 新天地ミラノでの活動
第3章 宮廷芸術家の立場と活動
第4章 最後の晩餐
第5章 夢想家(ファンタジスタ)レオナルド
著者等紹介
片桐頼継[カタギリヨリツグ]
1957年、岐阜市生まれ。武蔵野美術短期大学美術科卒業。学習院大学大学院美学美術史専攻博士後期課程満期退学(その間にローマ大学留学)。現職は実践女子大学文学部美学美術史学科助教授。専門はイタリア・ルネサンス美術史
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感想・レビュー
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キューブ
0
現代で万能の天才と謳われているレオナルド・ダ・ヴィンチの実像に迫る。作者は「万能の天才という称号を剥ぎ取るべきだと主張しない」と言っているが、本書を読んだ結果としては同時代でもっと優れた人物がいる、という評価になってしまうだろう。彼は完成させた仕事は多くないし、彼のアイディアも先駆者の功績による物が多いからだ。だが「評価」という曖昧な概念ではなく、彼が本当に成し遂げた実像に迫りたい、というのが本書の目的である。2016/04/19
mariner
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天才と言われたレオナルド・ダ・ヴィンチの、実際の生涯。不完全で、孤独で。人間レオナルドの姿はとても意外。ルーブル行きたくなるね。2011/04/25