内容説明
冷戦終結後、約10年にわたって中・ロ国境を現地調査してきた若手国際政治学者の実践的国境ルポ。現地で得た資料を丹念に検証する作業を通して、中・ロ国境の実相をあぶり出す。日本の21世紀を考える上で避けては通れない北東アジア情勢の未来像を展望する意欲作。
目次
序章 国境画定の舞台裏
第1章 図們江の夢の彼方
第2章 ウスリー攻防線
第3章 アムール・ドミノ
第4章 最前線の光影
第5章 国境ゼロ地帯
終章 国境問題を越えて
著者等紹介
岩下明裕[イワシタアキヒロ]
1962年生まれ。九州大学大学院法学研究科博士課程後期単位取得退学。九州大学法学部助手、山口県立大学国際文化学部助教授を経て、2001年より北海道大学スラブ研究センター助教授。法学博士。国際関係論専攻。「知の担ぎ屋」を自称し、文献だけではなく現場を「蟻の眼」を通して検証する行動派の学者を目指す
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感想・レビュー
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アメヲトコ
6
2003年刊。北朝鮮とも接する図們江からモンゴルにも近い満州里まで4000キロに及ぶ中ロ国境、ペレストロイカ期から始まった国境画定交渉によってこの国境域がどうなったのかを現地調査から明らかにしたものです。両国とも広大すぎる領土を有している一方で、画定交渉の内実は川の中洲になっている島をどちらに帰属させるかという実にわずかな土地をめぐる争いだったりするわけですが、そこには帝国ロシアの侵略による外満州の帰属問題も横たわっていたりしてなかなか厄介。地図はもう少し欲しかったですが、調査の密度には圧倒されます。2019/06/27
shilo
0
テーマもさることながら、アカデミアとジャーナリズムの「あいだ」という概念が読みにくいテーマを面白く読ませていたと感じる2011/06/13
samandabadra
0
5章の最後の3行を読んで、なぜスラ研で働けたのかの一端がわかった気がした。こういう問題があるから読んでといわれたら5年前素直に読んでいただろう。そうしたらここまで回り道することなかったのにな。2010/07/31