内容説明
時代劇でなじみ深い宿場風景だが、その実態はどのようなものだったのか。本陣とは?宿泊システムは?もてなしの料理は?住民の暮らしぶりは?東海道五十三次・五十二番目の宿場で、中山道との合流点である草津宿は、街道を行き交う人・物・文化・情報の出会いの場であり、訪れる顔ぶれは様々、珍妙な事件にもこと欠かない。草津に残された宿泊記録、日記、絵画から、宿場の人間模様を浮かび上がらせる。
目次
1 草津宿以前
2 宿場とくらし
3 草津宿・二軒の田中本陣
四 本陣の暮らし
5 宿を支えた村々
6 矢橋の渡し
7 名所と名物
8 幕末の往来
著者等紹介
小林保夫[コバヤシヤスオ]
1947年(昭和22年)京都市生まれ。名古屋大学大学院修士課程修了。堺女子短期大学教授。専攻は日本中世史。著書(共著)に『日本交通史』(吉川弘文館)、『兵庫北関入船納帳』(中央公論美術出版)、『草津市史』(草津市)
八杉淳[ヤスギジュン]
1959年(昭和34年)兵庫県生まれ。仏教大学大学院修士課程修了。草津宿街道交流館専門員。専攻は日本近世交通史、地域文化史。共著・分担執筆に『近江の街道』(郷土出版社)「滋賀県の地名・滋賀県』(平凡社)『園城寺文書・第5巻』(講談社)ほか
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感想・レビュー
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印度 洋一郎
1
時代劇ではストーリーの背景としてしか登場しない宿場について、その制度や機能を解説した本。資料や建物が残っている、近江の宿場町・草津について色々な側面から分析、考察をしている。宿場はそのイメージとは違って、旅客の宿泊よりも物流拠点としての仕事が多かったこと、宿屋には宿泊客の身分に応じたランクがあったこと、お役目に宿場周辺の村を動員する「介郷」制度などなど。時代劇を見ていても気づかなかったような興味深い話が多い。参勤交代のお殿様や幕府の高官が泊る本陣の構造を見ると、殿様達はたった二畳で寝起きしていたらしい。2011/05/14