内容説明
本書は、日本の伝説や民話の中に登場する妖怪たちや、文芸作品に描かれる妖怪たちの姿をとおして、妖怪の歴史、妖怪が棲むといわれる異界のありさま、そして妖怪たちのめざすものを明らかにする。「幽霊篇」とともに、怨念が形づくる日本文化の特性を解明。
目次
第1章 日本の妖怪たちの歴史
第2章 他界と妖怪
第3章 人間の中の妖怪
第4章 妖怪たちのユートピア
第5章 異類婚姻譚の思想
第6章 稲生屋敷の物怪
第7章 百鬼夜行の中の人間
第8章 昔ばなしの妖怪
第9章 民話の方法と近代文学の方法
第10章 民話と近代文学
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
志村真幸
2
「幽霊篇」に続く第2弾。 日本における妖怪という存在を古代から現代まで多様な側面から紹介しつつ、自由にアイデアを展開させている。 現代の漫画や映画、社会的事象とからめながら論じられており、民俗学の現代的な意義を追求しているのが伝わってくる。その分、妖怪そのものへの扱いには、やや物足りなさも残る。時代を超えて有効性をもつほどの議論には至っていない。 「歴史読本」「歴史と旅」「民話の世界」「ユリイカ」などに発表された多数の文章を一冊にまとめていることもあり、議論が散漫かつ重複しているのも気になる。 2022/07/29
印度 洋一郎
2
妖怪と言っても、鬼太郎に出てきそうなものでは無く、もっと広義で日本文学に現れる"あやかしのもの"を紹介。幽霊との違いは、人間としてのアイデンティティがあるかどうか。只、範囲を広くした反面曖昧になってしまった感も。そこが妖怪、なのかもしれないが。妖怪、妖怪と言いながら、文中に幽霊の話題が多かったり、全体として散漫な印象も受けるが、あとがきによるとあちこちに寄稿した文を編集したものだかららしい。幽霊編と続けて読むと、ちょっとガッカリしてしまう内容だったが、日替りで妖怪が出現する「稲生物怪録」の話は面白かった。2011/10/15
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