内容説明
トルコ共和国にはユルックとよばれる遊牧民がいる。いまなお遊牧生活にふみとどまるのは、遊牧が「自由」な生活様式だからである。簡素さと透明感にみちた遊牧社会は広大な大地の上に展開される。本書は、かられとともに暮らして見ききした遊牧生活の姿を、個々の人生の軌跡をたどりながら、生活史の側面から記した同時代的な記録である。
目次
1 チャドルの周辺(ユルックについて;遊牧と森林;水をめぐる生活)
2 放牧の空間(夜間放牧;オオカミとイヌ;薬としてのブタ;黒ヒツジの話)
3 恋と結婚(放牧の恋;アリの結婚)
4 ムフタル「村長」と医者(最後のムフタル〈村長〉―デデ・モッラの生涯;野の医者―ドクトル・ムサの軌跡)
5 遊牧に生きる(ヤギの失踪事件―メフメットの受難;やとわれチョバンからの脱出―ベキルの苦闘;遊牧の現在―ムスタファの半生)