内容説明
慶長18年、北政所ねねの甥木下延俊は、正月の参賀に江戸城に出仕し、秀忠から茶をふるまわれる。そのご領地日出へ帰国する途中、駿府で家康に拝謁、大坂城の秀頼を訪れる―大坂の陣の直前、東西両陣営のはざまで生きる大名の緊迫した1年の行状を、新出の日記をもとに再現。
目次
江戸の春(静かな元日;江戸城の正月参賀儀礼;新友・細川忠利と稲葉典通;将軍秀忠の点茶を拝見 ほか)
東海道の旅(旅立ち;楽じゃなかった参勤交代;気ままな旅;駿府逗留;大御所家康に拝謁;再び西へ)
楽しき京都(四か月余の京都滞在;親族との心のふれあい;叔母高台院の笑顔;能楽三昧;茶湯の友千少庵;弓術の師伴道雪 ほか)
国元日出における生活(七か月ぶりの帰国;長旅の疲れ;藩主としての延俊;煙草の吸いくらべ;別府温泉へ赴く;二ノ丸数寄屋普請;上方からの賓客;謎の兵法者無二;大酒盛り;細川忠利と再会 ほか)
感想・レビュー
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印度 洋一郎
3
北政所ねねの甥である九州の小大名の壮年期の一年(江戸初期の慶長18年:大阪の陣の前年)を克明に記録した日記を分析。江戸初期の大名の暮らしぶりはほとんど記録が無いので、この当時の大名がどういう生活をしていたのかわかる貴重な記録だ。徳川と豊臣の間を巧みに動きながら、茶道や武芸に励み、家臣にも気を配る日々を送っていたのだった。まだ参勤交代も無い時代なので、国元に帰る時には仲の良い大名と馬に乗るという、自由な旅行も楽しんだりもする。国元であの宮本武蔵を召し抱えていたのではないか、と思われる記述があるがこの辺は謎だ2011/11/02