内容説明
目的を定めない遊行も、巡路と目的がある巡礼も、歩くことにかわりない。「歩く宗教」こそ原始的な宗教の実践であり、洋の東西を問わず、多数の庶民が参加する、いわば教派・宗派のない宗教である。本書は「遊行と巡礼」の事例として、巫女の遊行、聖の回国、観音霊場の巡礼、四国の遍路、熊野詣などを取りあげ、「海の修験」など、実地踏査にもとづく多くの創見を展開、日本人の民族宗教の構造と内容をさぐる。
目次
第1章 歩く宗教
第2章 巡る宗教
第3章 西国巡礼の成立
第4章 四国遍路と辺路信仰
第5章 紀伊の辺路と熊野詣
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Junko Yamamoto
1
日本の原点。海洋信仰。2022/09/23
Yasunori Sasaki
1
日本人がそもそも歩くという行為にどのような思想を持っているか、というところからはじまり、海の修験道にたどりつくまでが、まるでミステリを読んでいるようにあざやかにしるされている。 文章の美しさもふくめて、たいへん感銘を受けた。おもしろい。2015/02/19
残留農薬
0
諸星大二郎作品読んでる気分になった。お遍路や熊野など、仏教や神話のレイヤーをめくって行って、その根底に潜む海洋信仰の道場としての断崖、窟を発見していく。2018/03/03