内容説明
鉄幹主宰の「明星」は旧派和歌を否定し、短歌の革新を遂げ、近代短歌史上大きな役割を果たした。晶子、登美子、雅子、梅渓、啄木等若い歌人たちの綴る歌と恋に寄せる情熱には、伝統の呪縛からの脱逃と、自由で新鮮なものへの憧れがあった。鉄幹のもとに集まる女流歌人の愛と友情が錯綜し、それはそのまま「歌」となって表現された。百号をもって終刊となったが「明星」の歌は、きざで甘美なものとして反目をかう反面、自由な若さの象徴として人々の関心を集め、新時代への分岐点となった。
目次
1 罌粟ひらく(「明星」創刊;浜寺住之江の歌会)
2 罌粟は火の色(子規・鉄幹不可称説・「明星」発禁;粟田山の1夜、文壇照魔鏡事件;『恋ごろも』事件、「明星」終刊)