内容説明
近世とは日本史上にあって、流通・交通・情報網が飛躍的に発達した時代である。この時代は、人々が大量に行き交った「旅行の時代」として捉えることができ、各地の遠く隔たった地域同士が交流し、さまざまな影響を互いに及ぼし合うようになっていたと考えられる。このような交流関係の中にあって地域は、そして、そこに住まう人人の生活はどのように変容していったのか。富士山という日本有数の“観光地”の歴史の丹念な検証を通して、多様で変化に富んだ地域と人々の営みの実相に鋭く迫る。「観光地域史」という新しい視点から近世の考察を試みた力作。
目次
第1章 道中を行く(参詣旅行のコースと情景;生き残る参詣の道―古沢村と御殿場村;御師の住む村で;登山とサービス)
第2章 山を登る(山の中の出来事;女人登山禁制の実態;形骸化する女人登山禁制)
第3章 山頂に到る(富士山頂をめぐるイメージと現実;「観光地化」するということ;日本一高い場所の歴史;富士山中の「死」と境界)
著者等紹介
青柳周一[アオヤギシュウイチ]
1970年東京都生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程(国史専攻)修了。文学博士。日本学術振興会特別研究員を経て、現在滋賀大学経済学部講師(附属史料館専任教官)
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