内容説明
「野ざらし紀行」は、芭蕉の最初の紀行文である。貞享元年八月、四十一歳の芭蕉は、旅中に倒れることも覚悟して旅立つ。九か月にわたる旅の紀行文は、公刊を企図することなく執筆され、しかも絵巻という形をとっている。画面とのかかわりの中で本文をどのように読み取り、鑑賞するか…。「野ざらし」の旅を通して、俳諧の特性である風狂の世界を拓き、蕉風の確立へ向かうこととなった過渡期の句文を評釈し、その精髄を鑑賞する。
目次
旅立ち、箱根越え
富士川
大井川・佐夜の中山
伊勢
伊賀・大和
吉野
山中・不破・大垣
桑名・熱田
尾張旅泊
故郷越年、大和
京都・大津
邂逅と離別
惜別・帰庵