出版社内容情報
【あらすじ】
1996年夏。高校1年生のエミは、サラリーマンの父、専業主婦の母、中学2年生の妹と平穏に暮らしていた。しかしある日、父・ヒロシは脳にできた腫瘍が破裂した影響で、半身まひや失語症の障害を負ってしまう。さらに記憶能力が大幅に欠如し、家族の顔さえわからなくなってしまった父。エミは突然の事態に戸惑いながらも回復を信じ、母親や妹とともに父親を支える日々を送っていくが、一緒に暮らすにつれて、徐々に厳しい現実を突きつけられていく。そして思春期、就職、結婚、出産と、人生のステージが進むにつれ、エミは父親とどう向き合うべきなのか、わからなくなってしまうのだった。脳に障害を負った父親を支える家族の葛藤を赤裸々に描いた、胸えぐる実話コミックエッセイ。
【解説】
渡邉 修(医師)
【「シリーズ 立ち行かないわたしたち」について】
「シリーズ 立ち行かないわたしたち」は、KADOKAWAコミックエッセイ編集部による、コミックエッセイとセミフィクションのシリーズです。本シリーズでは、思いもよらない出来事を経験したり、困難に直面したりと、ままならない日々を生きる人物の姿を、他人事ではなく「わたしたちの物語」として想像できるような作品を刊行します。見知らぬ誰かの日常であると同時に、いつか自分にも起こるかもしれない日常の物語を、ぜひお楽しみください。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
あっか
38
新刊。実話なんだ…悲しい…。ずっと泣いてしまった。著者さんは、お父さんから、介護から逃げてしまったとおっしゃっているけど、わたしがお母さんだったら子どもには背負わせたくないと思うからそんなに後悔しなくていいんじゃないかな…いつ何が起こってもおかしくないと思って、わたしも日々一瞬一瞬を大切にしながら生きようと思えました。2025/02/13
ましろ
8
仕事柄在宅で延命治療されてる方にお会いするのだけれど、家族の方々は本当に大変そうなのと何よりもご本人が絶対苦しいはず。家族には私に何かあれば胃ろうと人口呼吸器は絶対に止めてくれと言っているが、この本を読んでいざもし反対に家族がそうなった場合果たして私は選択出来るだろうかと改めて考えさせられた。あとがきに後悔されてる事は沢山ある、何が正解か今もわからないと書かれているがそれは私自身の家族(高齢の両親)にも思うところでもある。私の仕事に関わる方の背景にも、家族の色々な思いが沢山あるのを忘れないでおこうと思う。2025/02/19
かつ子
1
実話を基にしたセミフィクションのようなので、読みやすくまとめているが、父親も母親も子どもたちも実際はもっと汚く辛く苦しく狂いそうで壮絶な地獄を味わったと思う。介護や看病は決して家族だけで抱え込んではいけない。あらゆる福祉やサービスをとことん調べて最大限利用すべきだと改めて思った。それにしても、果たして妻が同じ状態になった時にここまで尽くす夫は居るだろうか?2025/02/25