感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
七
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井上靖さんの詩人人生を、主に小説との繋がりから説明したもの。国内外の文学作品だけでなく映画や音楽からも影響を受けていたという井上靖さんの柔軟な感受性に驚く。詩の紹介が殆ど時系列だったため、作風の変化が分かりやすくて素人目にも楽しめた。中でも詩と小説がリンクする「猟銃」は、銃を持つ男への敬虔の念が伝わってきて妙な現実味を帯びていた。また、エッセイでは彼の創作に大きな影響を与えた映画を見終えて外に出た時「雪の細片が舞い落ちていたのを今も鮮やかに覚えている」と綴っている。これは金沢での四高生時代の出来事で→2021/06/23